第58話 チーム編成
暫くして私の居た客室に双子とアレクがやって来た。
アレクの頭にはルイが乗っている、部屋に入ってくるなりルイは私の姿を見て腕のなかに飛び込んできた。
心配してくれていたようだ。
「ごめんね、ルイ。心配かけて」
「みゃっ、みゃ」
すりすりとすり寄ってくる姿はとても愛しい。
「皆様にも、心配を御掛けして申し訳ありません」
「…本当にな」
「アザミ、無茶はいけませんよ?」
「全く…」
アレクは気遣う言葉をかけてくれ、双子は呆れていた。
本当にごめんよ…頼りない族長で。
「それで、国境付近を調べるという話でしたよね?」
アレクは確認するようにクラウドをみる。先程私がクラウドに話した内容を、皆に伝えてくれていたらしい。
双子はどうして前もって自分達に教えてくれなかったのかと聞いてきたが、そこは鬼の事を街の人から聞くまで忘れていたと言って乗りきった。
「私は鬼についての多少の知識があります、ですから国境付近を調べれば何か分かるかもしれません」
「アザミ様一人では行かせませんよ」
私の言葉に即座にシオンが口を挟む。それを聞いてクラウドも頷く。
「もちろんだ。だから城で鬼について文献を調べ、情報を集める者とアザミ殿の護衛も兼ねて付き添う者で別れようと思う」
「俺ら二人がアザミ様に護衛すればいい話だろ?」
割って入ったレオンはすっかり敬語ではなくなってる。
王族に対して無礼だが、アレクやクラウドはそれを許容しているようだ。
私が寝てる間に仲良くなるイベントでも起きたのかな?………………ちょっとみたかった。
「それでもいい、と言いたいところだが何かあった時に連絡がつく様に護衛のどちらかには残って頂きたい。魔導一族の魔法は遠方に居ても連絡が直ぐに取れるそうだからな」
「………それ、誰から聞いた?」
レオンが目を細めるとクラウドが他に誰がいると言うように私に視線を投げる。
「クラウド様から策を提案されて私が進言しました、レオンとシオンは遠くにいても意思疏通の魔法が使えるとこの前リオン様からお聞きしたので」
私がそう告げるとシオンが片手で顔を覆い項垂れる。
「簡単に話すなんてあの馬鹿兄め…」
低い声で恨み言が聞こえてきたけれど聞かなかったことにする。
「わかりました、私が残るのでレオンが行って下さい」
「良いのか?」
「万が一、襲われた時の撃退率はレオンが一緒にいる方が高いですから」
さすが弟。お兄さんの事は分かっているらしい。
「ではこちらは兄上に行かせましょう」
「……私か?」
「はい、認めたくないですが兄上は剣術にそれなりにたけていらっしゃる。それにどちらかといえば僕の得意分野は情報収集ですから」
こうして私、クラウド、レオンに加えクラウドの護衛騎士二名の五人で私達は、東の国とクラルテ国の国境に向かうことになった。
ちなみにルイはアレクと一緒にお留守番することになって拗ねていた。
帰ってきたらたくさん甘やかそうと思う。
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