第48話 兄弟愛?
翌日、少し照れくさいような気持ちを抱えながらもゆっくり休むことが出来た私は、族長としての仕事をこなすべくルイと一緒に村を回る。
レオンとシオンも当たり前のように私の後ろをついてきた。
まぁ護衛だから嫌でもついてきてくれるんだけど…。
大分長い間留守にしてしまったから、と言うのもあるが無事に私が帰って来た事を確認するかのように、村の人達全員に声をかけられる。
井戸端会議仲間のおばちゃん達からはお菓子ももらった。
ルイもクッキーを貰ってご機嫌である。
「アザミ様、お帰りなさい」
村の中を一回りした頃、声をかけられて振り向くとそこには麗しい笑顔の御姉様がいた。
私の(心の)憧れ、ミナモ様!
相変わらず儚げで素敵な笑顔です御姉様!
「あら、コドモドラゴンさんやレオンにシオンも御一緒なんですね」
「そうそう、俺等アザミ様の護衛だから」
「義姉さん、リオン兄さんは一緒ではないんですか?」
シオンが尋ねるとミナモ様は困ったような笑みを浮かべる。
「あの人ったら結界の外に果物を取りに行ってしまったんですよ。わざわざ見つからないように変装の魔法まで使って。困った人でしょう?」
あ、今はじめて聞いたけど双子のお兄さんはリオンさんって言うのか。
……リオン、レオン、シオン。
親御さんは名前を揃えたかったのかな?
「義姉さん、兄貴のことだからすぐ帰ってくると思うぜ」
「そうですよ、義姉さんから半日以上離れたらリオン兄さんは使い物にならなくなりますから」
シオン…お兄さんに対してずいぶんな言い方だと思うのは私だけかなー?
そんな話をしていると、双子の後ろから近付いてくる影があった。その人物を見て私とミナモ様は少し後ずさる。
ルイも何かを感じたのか双子から離れた。
「どうかしたのか?」
「何でそんなに離れ……まさかっ!」
双子が気がついて振り替える前にその人物は双子の肩に腕を回してホールドする。
「随分楽しそうな話をしているねぇ、弟たちよ」
「げっ!兄貴!?」
「暑苦しいです、離れてください、今すぐに!」
嫌がる双子なんて何のその。リオンはぐっと引き寄せると双子に思いっきり頬擦りする。
「可愛い弟たちを目一杯可愛がってあげるとしようか」
「止めろおおぉぉ!!」
「離しなさい、馬鹿兄!」
「ふふっ、本当に仲良しですわね」
「そうですね、兄弟愛は素晴らしいです」
「みゃう」
ミナモ様とルイとその光景を眺めながら、私は心のなかで双子に合掌した。
尊い萌えをありがとう!
君たちの犠牲は忘れない!
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