第12話 やっぱり似てる
店員さんの運んできてくれたあんみつを見ると、レオンは先程までの真剣な顔が嘘だったように柴犬っぽい笑顔を見せる。
「いただきます」
シオンも手を合わせて食べ始めたので、私もそれにならう。
お勧めってだけあって、あんみつ美味しい…
ちらりと、二人を見れば同じように顔を綻ばせていた。
その様子があまりにも似ていて、思わず笑みが溢れる。
やっぱり双子なんだなぁ…同じ顔して食べてるよ
「……何か?」
それに気がついたシオンが、不機嫌そうな視線を向ける。
食べてるところ見て、笑ったらそりゃもやっとするよね…
配慮が足りなかったと思い、慌てて謝る。
「ごめんなさい、やっぱり双子なんだなと思って…二人とも美味しそうに召し上がるお顔が似ていたのでつい」
「アザミ様は…俺たちが似てると思う?」
「えぇ、似てらっしゃいます。私には兄弟が居ませんから羨ましいですわ」
前世の時と違い、アザミ様は一人っ子だ。
私個人の意見だけど、一人より兄弟がいた方がいいと思う。
話し相手にもなってくれるしね
「そっかそっか」
私の返答にレオンが嬉しそうに笑う。
「……兄弟ですからね、似ていて当たり前です」
さらりと告げるシオンは口許に笑みを浮かべている。
よっぽど似てるって言われて嬉しかったのかな?
私も前世で妹と似てるって言われて姉妹の繋がりみたいなものを感じて嬉しかったから。
きっと、彼らもそうなのかもしれない
◇◇
あんみつを食べ終えて、お会計を終え店の外に出る。
食べ終わってから暫く回りの人たちの話から国の情報を得ようと思ったけど、何処の奥さんが旦那と喧嘩したとか、何処のお嬢さんが猫を飼い始めたとか、あの八百屋さんよりこっちの八百屋さんが安いとかそんな話しか聞けなかった。
もう少し有益な情報がほしいな…新聞とか、情報の塊みたいなものって無いのかな?
視界に入る範囲のお店をキョロキョロ見回す。
すると紙の束が冊子になっておいてある店を見つけた。どうやら書店のようだ。
私の視線の先にシオンが気がついた様で、「少し待っていてください」と告げると書店の方に歩いていった。
私も、とついていこうとすればレオンに止められる。
「アザミ様はここで俺とお留守番な?」
一人で手が足りるって事かな?
「分かりましたわ」
大人しく頷いて、二人でシオンが戻ってくるのを待っていると、先程の食事処から店員さんが出てきてレオンに声をかけてきた。
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