ゴミ箱

ゴミ箱

　それではお次の商品をご紹介しましょう。

　そんじょそこらのものとは一味も二味も違う、とてもお買い得な商品です。

　ではお披露目です！　こちらが本日イチオシの商品でございます。

　……ん？　それはなにかって？

　見ての通り、「ゴミ箱」です。ゴミ箱と言えば、家に二つや三つもうあるよ！　という方も多いと思われます。

　しかし！　そんなあたりまえの「ゴミ箱」をわざわざ紹介するほど、我々もバカではありません。

　実はこの “ゴミ箱” ――無限に “ゴミ” を捨てることが出来るのです。すごいでしょう？

　あの面倒なゴミ捨ては、もう必要ありません！　さらに、このゴミ箱なら、分別作業も要らないのです。この “ゴミ箱” は “ゴミ” を自動で分別し、棄ててくれるのです。

　よって、 “ゴミ” と判断したものは、全てぶちこんでくれてよいのです。えぇ、遠慮なく、好き勝手に。

　さらにさらに、ゴミを捨てたあと、なんか、ゴミ箱が臭って嫌だなぁーつていう経験、ありませんか？　……私はありますよ、はい。

　しかしこの “ゴミ箱” 、臭いはおろか、足などで倒してしまっても、中身がこぼれることすらないのです。つまり部屋の中は常に快適。少しの淀みもありません。

　……え？　どうしてずっとゴミを捨てられるのかって？　いい質問です。

　実は、ゴミの処理方法については、それぞれの “ゴミ箱” の、製造ルートによって少し異なります。えぇ、一品ものですから、一つ一つ違うんですよ。

　例えば、極限まで圧縮して、電流で燃やし、“熱” として外に放出したり、 “別の物質” に変換したり、あとは――ゴミそのものの存在を “忘れてしまう” なんてことも。……このパターンが一番多いですかね。

　さてさて、こんなに便利な“ゴミ箱”なんですが……そこで気になってくるのが、お値段、だと思います。無限に “ゴミ” を捨てられる “ゴミ箱” 。勝手に “ゴミ” を棄ててくれる “ゴミ箱” 。おいくらだと思います？

　――実は、値段はないのです。

　理由としては……そうですね、 “値段をつける価値なんてないから” 、でしょうか？　あるいは、 “値段がつけられないほど素晴らしいものだから” 、かもしれません。

　お金の方はどうぞご勝手に。私どもは干渉しません。みなさんは、私たちに「この “ゴミ箱” がほしい」、とだけ言ってくださればよいのです。大金を積んでくださっても、もちろん構いませんし、一円も払わなくても結構です。

　――さて、

　この “人間” という名の “ゴミ箱” ――

　みなさんは、おいくらでお求めですか？