ヒミズの晶子さん(現代ファンタジー)

ヒミズの晶子さん - 1

少子化の煽りを受けてここ数年、生徒減少傾向にあった私立土山高校は、学校経営コンサルタント詐欺の餌食と相成った。

捏造された資料、根拠の無い改革案、業者とグルの就職枠提携先企業。


コンサル料は返らず、資料は尻を拭く紙の役にも立たず、就職枠提携先企業は詐欺業者の撤退と共に手を引いた。

しかし幸か不幸か、根拠の無い改革案だけは、若干の効果をもたらしてしまった。


「学校独自の特色を作る必要があります」


業者は言った。


「この地域は陸上スポーツと水泳の激戦区だそうですね」


そうも言った。


「ここは敢えて一歩ズラして、地中スポーツの部活動を作りませんか」


なんてことも言った。


これがまあ、小当たり。

地中部の活動を目当てに、前年度から一割増の生徒が入学するようになったのだ。


風間晶子あきこも、そんな新入生の一人だった。

当時の入学生にして、現在の、地中部エース。

そんな彼女には、他人には言えない秘密があったのだ。

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