悪霊の館
ゆぷ
prologue~出会い
見慣れないアプリを見つけて、手が止まった。
生粋のオカルト好きな私は「怖い話」をGoogleplayで検索するのが日課だ。
なぜなら単純に未知の世界の領域が好きだから…いや、好きなんて単純なものではなく魅せられているからだ。
高校一年生にもなっておしゃれよりも怖い話や心霊スポットに夢中だったりするとクラスで浮いてしまうのでもっぱら自分の中だけで抑えてはいるのだが。
遠藤花といえば怖い話、という認識が出来るくらい本当は誰彼構わずオカルトな話を聞き込みたい欲求はある。
自慢じゃないが中学の頃は修学旅行の際につい暴走してしまい、グループの女子を震えあがらせ泣かせてしまい生活指導に怒られた経験もある。
本当に自慢じゃない。
そんな私の情熱はさておき、昨日も勉強の合間にスマホで検索した。
が、この「悪霊の館」といういかにもなタイトルは見たことがない。
新しいアプリに違いない。
黒い背景に明朝体の赤い文字でタイトルが書かれているだけのシンプルなサムネイル。
タッチすると短い説明文が現れる。
ここに記されたエピソードは全て実話です。
信じるかどうかは貴方次第です。
こちらをご覧いただいたのち、何事かありましても責任は負えません。
自己責任でお願いいたします。
変わった説明文だな、とは思うものの別にどうということはない。
ざっと見たところ、ゲームというよりホラーノベル短編集といった感じか。
この手の読むだけのアプリにも時々ゾクッとする大当たりがある。
今では有名な「コトリバコ」や「八尺様」なんかもそういったアプリで詳しく知った。
元は2ちゃんねる…今はごちゃんねるだけど…から発祥したらしいけど、いちいちあのサイトで探すのは手間だ。
ホラー好きとしては探すのは楽しみもあるけれど、あそこはいちいち「嘘臭い」だの「つまらない、やりなおし」だのいちゃもんが多くてイライラする。
なのでこうやってまとめてくれているアプリは有難い。
「見てみますか!」
期待しつつアプリをダウンロードする。
滞りなく表示されたサムネをワクワクしながらタッチした。
サイト自体、かなり簡素な作りだった。
音楽が流れるでもなく、ただエピソードごとにタイトルがつけられた短編が並んでいるだけ。
「カテゴリー別にもなってないんだ、手抜きだね~」
だが真の怖いもの好きな私にとって見てくれなどはどうでもいいのだ。
episode1からepisode30まであるらしい。
ひとつのepisodeがどれくらいの長さかはわからないが、こういうまとめアプリにしては少ない方だろう。
私はとりあえず、「ビデオテープ」と題されたepisode1を開いてみた…。
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