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「なんでもどうぞ」

「・・・多分マスターより年上だと思うんだけど、そう言う人って何をあげたら喜ぶのかな」

 いやシオタ君の倍くらい年上だったら明らかに俺より年上だろうがい、ってのは置いといて、何をあげたら喜ぶのかって? どうして?

「いや・・・なんか今日その人の旦那さんが死んだ日とかで、元気がなかったから。昨日もその前のそうだったし、多分明日もそうだろうから、なんか元気になるものとかあればなって」

 照れもせずシオタ君はそういってのける。なんだって? だから喜ぶものをあげたいだなんて。

「素敵じゃないですか」

 もとい可愛すぎだろ。

「そんなんじゃねぇし。俺は外回りで疲れて帰って来てるのにそんな顔して無理に笑われたらなんか嫌って言うかぁ、そういうの分かるでしょっ」

「ふふ、そうですね」

「なんで笑うんだよっ」

 ごめんごめん。微笑ましくて。そうだね、無理に笑う顔程見ていて辛いものはないよね。

「それじゃぁ一緒に考えましょうか。何が喜んでもらえるのか」

「何がいいと思う? 俺、そう言うの良く分かんないし、タバコも吸わないし酒も飲まない人だし、俺が貰って嬉しいもんとかも違う気がするし」

 そうやって腕組みをして首を左右に傾ける。きっとそうやって考えていること自体がとても素敵なものだとは思うけど、誰だってね。

「お花なんてどうでしょう? 贈り物としては最適だと思いますよ」

「花かぁ、でも俺良く分かんないし」

「店員さんに訊くのも一つですが、やはりシオタ君がプレゼントしたいって思ったものが良いでしょうね。一目見てピンときたものとか」

 そんなアドバイスを聞いていたシオタ君の顔がみるみる明るくなっていくのが分かった。逆に顔に出過ぎていて心配になってしまうくらいだ。

「少し行ったところに深夜も開けている品揃えの良い花屋がありますよ。紹介しましょうか」

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