第27話 領解
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2018/09/09:誤字、脱字、誤用の修正をしました。
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【領解】
奈津、アメリアと俺と話しているとリネーネ様がやって来た。
「アメリア、ルーカスちゃんに話があるのでちょっと席を外してくれない?
わたしがいたら駄目な話?」
リネーネ様はどうやら気分で俺の敬称を決めている様だ・・・
「そう、大人の話なの」
「はい、はい、どうせ私は子供ですよ。」
アメリアはふくれっ面をして出て行った。
「ルーカス様、オレリーを許してあげて・・、その代わり私で良ければ好きにして良いわ」
リネーネ様は相変わらず過激なことをおっしゃる、奈津に角が生えてくるじゃないか?
「オレリーは可哀想な子なの・・・・」
「侯爵と第1夫人は大恋愛の末、周囲の反対を押し切って結婚したの、知ってると思うけど、侯爵は上位貴族だし結構なやり手で他の貴族へのおさえも強いのよね、本来はうちも辺境伯だからそれなりのはず何だけどあんな風だから侯爵には色々とお世話になってるのよ。」
「話がずれちゃったけど、侯爵は別に妻を欲していないところへ国王から押し付けられたのよね、当初が反対を押し切って結婚したのと国王からと言うこともあって断るに断れなかったの。」
「理由は侯爵を自分の派閥である国王派に引き込みたいから、侯爵を引き込めばもれなく辺境伯も付いてくるので王族を嫁がせても損はしない訳」
「当初は放置だったけど国王から子供の催促をされて一度だけ床を供にしたら出来たのがソフィーだったわけ・・・オレリーは相変わらず放置されてるけど、ソフィーは侯爵にも他の子供同様に可愛がられてるはずよ。」
「オレリーはソフィーを手放したくないのと、手放せば自分の居場所が無くなると思ってる両方の理由であぁ、なったんだと思うわ。」
「オレリーはソフィーをこのまま行かず後家にして飼い殺しにしようと思ってるのか?」
そう言う理由を聞くとソフィーを手放さない理由は分からないでもないが勝手すぎやしないか?
「そこまでは思ってないと思うわ、ただ、彼女の中ではまだ、早すぎると思ってると思うわ、あと5年ぐらいは一緒に暮らしたいと思ってるじゃないかなぁ」
「でも、リネーネ様はなんでオレリー様をそこまで庇うの?」
「あたしと境遇が似てるじゃない、その辺もあって私とオレリーは結構、仲が良いのよ。貴族の結婚ではこう言うのは珍しくも無いのよ」
「だからうちはアメリア達には好きにして欲しいと思ってるわ。」
「なんか、悲しいね。オレリー様も淋しいのよ、だからといってソフィーは人形じゃ無いんだけど・・・」
奈津がしみじみと口走った。...
(侯爵にも責任はあると言えばあるんだろうけど、そういう事情でもらった嫁にかわらずに愛せるかと言うと俺にも自信が無い、結局、同じ事をしてしまうかも知れないなぁ・・・)
「ルーカス様、オレリーを分かってやってとは言わないけど、ほんの少しで良いから考えてあげて・・お願い・・・そのかわり・・・」
「ストップ!!、わかった、分かったから続けなくて良いです。」
どうしてこのひとは最後の最後でこんな事言うかな?
「とにかくお願いね!!」
そう言ってリネーネ様は去って行った。
「久志、こっち側の眷属は順調というか勝手に増えていきそうでそれはそれで心配だけど、向こう側の眷属はどうするの、私一人では駄目なんでしょ。後2名はどうするの?」
「そうなんだよなぁ、考えてない訳では無いが全く当てが無い・・・」
「私は当てが無い事も無いんだけどなぁ・・・」
「どんな人なの?」
「大学の工学部で助手をしていたのだけど、3月一杯で退職させられて今はコンビニでバイトしながら職探し中」
「女の子だよね・・・」
「もちろんよ。」
「うーん、そんな人が来てくれるかなぁ、極端な話、失踪状態になる訳だし・・・」
なかなか、異世界なんて理解出来ないし、まあ、実際に見れば納得してくれると思うけど、家族とはそんなに会えなくなるし単に転職とは訳が違うからなぁ・・・」
「でも可能性は高いよ、40まで処女でいると魔女になれるなんて言ってる子だから・・・それに魔法のことも詳しいしね。」
それはそれである意味怖い気がする、下手すると暴走しちゃう様な気もするし・・・むしろそっちの世界ではこっちに興味が無い人の方が無難な気がするけど・・・
「うん、機会があったら何となく探ってみてよ」
「わかった、王都から帰ったら一旦、帰るでしょ、その時にでも話してみるわ。」
まあ、ちょっと心配だけど他に当てもないし・・・
「コン、コン」、ルーカス殿、少し話出来ないだろうか?
侯爵が来た様だ・・・
「どうぞ、」奈津が招き入れる。
「この度は、大変申し訳なかった、娘の命の恩人に対しての妻の無礼は全て私の責任です、罰は何なりとお受けいたします。」
「娘を救って頂き本当に有り難う御座いました。」
侯爵は土下座して謝っている。
「侯爵、取り敢えず、頭を上げて立って下さい、話はそれからです。」
「いえ、許しを得るまで頭を上げる訳には行きませぬ」
「わかりました、許します、何でも許しますから取り敢えずソファーに掛け下さい。」
そう言うと侯爵はやっと頭を上げてソファーに座った。
ソファーに座ると侯爵はオレリー夫人があぁなった経緯を語ってくれたが、その内容はリネーネ様が話してくれた内容と殆ど変わらぬ物だった。
「侯爵様、私も一人の男として考えた場合、同じ様な状況下であれば同じ様な事をしないという保証は何処にもありません、むしろ、同様な対応をとる可能性は高いでしょう。なので侯爵を責めるつもりはありません。」
侯爵は深く頭を下げた。..
「もう、頭を下げるのは止めて下さい。ただ、ソフィーについては『世界神メトナスの名に置いてソフィーを眷属とする事を宣言します。』、この決定はたとえこの国の国王と言えども覆すことは出来ません。ご了承下さい。」
「有り難き幸せで御座います、娘、ソフィーも喜ぶでしょう。」
「侯爵様、その様な言葉使いはお止め下さい、眷属にすると言うことはもう、身内になる言うことです、そうなれば侯爵様は私の義父親も同然、ルーカスと呼び捨てにして下さい。」
侯爵は、呆然としていた。...
((半神であるルーカス殿を呼び捨てになど出来るはずも無い、どうしたものか?))
「所でソフィーは目を覚ましましたか?」
「はい、目は覚ましましたので今はお借りしている自室にて休ませております、是非、後ほど逢ってやって下さい。」
「うん、様子を見に行くよ。」
「ルーカス様~~~」
ソフィーが突入してきた。どうやら元気の様だ・・・
「ルーカス様、直して頂き有り難う御座いました。わたし、ルーカス様がフェンリルになって治して下さっている間、とても幸せでした。嬉しかったです。有り難う御座いました。」
「ソフィー、ルーカス殿が眷属にしてくれるそうだぞ、良かったな!」
「ルーカス様、本当ですか?」
ソフィーの顔に満面の笑みが溢れている。
『世界神メトナスの名に置いて汝、ソフィー・フォン・リンデールをルーカス・ハミルトンの眷属となる事を命じる』
「はい、謹んでお受け致します。」
そう答えた瞬間にソフィーの体に何か熱い物が流れ込んでくるのを感じてソフィーは身を震わせた。
落ち着くと今度は頭の中に、アナウンスが流れた
現在所有する属性の全てがレベルアップしました。
時空魔法、重力魔法、転移魔法を新たに取得しました。
ルーカスの忠臣、良妻賢母を取得しました。
それらを受け入れたソフィーの目の色はグリーンからブルーへと変わっていた。
「ソフィー、受け入れるのならそこの窓から飛べ!!」
「そ、そんな~・・・・ルーカス殿ーーっ」
侯爵は真に受けたのかどうして良いか判らずおろおろとしている。
ソフィーは『ハイ』と返事をすると、何の躊躇いも無く窓から飛んだ・・・
「キャーーーッ!!、ソフィー!!」
後からやって来ていたオレリー夫人が絶叫する。
ここは同じく3階にある。
窓から下を見る。
「ルーカス様ぁ、痛いですぅ~」
「ごめん、ごめん、まだ、飛行術を教えてなかったな、後で教えるから早く上がっておいで・・・」
「ルーカス殿、これはどういう事なのですか?」
「ソフィーは眷属化候補になりました、現時点では不老不死ではありませんが、首でも切られない限り死ぬことはないし、怪我もしないでしょう。完全に眷属になれば不老不死となります。」
「なんともはや、心臓に悪い、ルーカス殿また、寿命が縮みましたぞ!!」
「あっ、侯爵、話しておりませんでしたが、眷属の1親等は一定期間不老で寿命は200年~300年に延びてしまいます、事後承諾になって申し訳ない・・・」
「ただ、不死ではありません、今のソフィーと同じ状態です、寿命が来る20,30年前までは老化もしませんし病気怪我もすぐに治ってしまいます、如何しても死にたい時は首を切り落として下さい。」
「ま、神の加護を受けたとか適当な事を言えば大丈夫でしょう?」
「・・・・・・・・・・・・・・」
侯爵は口をあけたまま、絶句している、どうやら精神は別世界に行っている様だ・・・
ソフィーが帰って来た。.
「ルーカス様、お洋服が汚れちゃいました。でも、怪我していませんよ。これはルーカス様のお力ですか?」
「ちがうよ、ソフィーの力だよ、眷属の候補になった証拠だよ、でも、まだ、完全な眷属になるまでは暫く掛かるからあまり無茶をしちゃ駄目だよ」
「はい、ルーカス様」
「ソフィー、これからはルーカスと呼ぶ様に、分かったね。」
「はい、ルーカスゥ・・・」
「ま、徐々に成れていけばいいさ・・・」
「はい!!、」
満面の笑顔で返事した。
「ソフィー、こっちにおいで・・・」
俺はソフィーを抱き寄せて、キスをした。
「んっ、んんふっ」
ソフィーはあらがうどころか俺の背に手を回し強く抱きしめてきた・・・
「・・・・」
「私幸せです。」
「ソフィー、今度は床から少しだけ浮くイメージをして見て・・・」
「はい、」
「あ、浮きました・・・」
ソフィーは床から30cm程、浮いている。
「おーーーっ、皆が侯爵や婦人、そして奈津までも驚嘆の声をあげている」
「ソフィー今度はそのまま窓から浮き上がって外を飛んでごらん。」
「ハイ!」
やはりソフィーには躊躇いがない、それは俺を全く疑っていない証拠でもある。
「ゴツ!」
「イタ・・・っ」
そふぃーは窓枠に頭をぶつけて外へ出た・・・今度は落ちずに浮かんでいる。
「ソフィーイメージすることで飛べるからイメージしながら飛ぶ練習をしてごらん」
「ハーーーイ!!」
ソフィーはどうやら素質があるみたいだ・・・物覚えが早い・・・
ソフィーは辺境伯邸の辺りを飛び回りだした。..
「な、なんと、ソフィーが空をとんでいる・・・」
別世界から戻りかけた侯爵の精神はまた旅立つのだった。
。・゚・。。・゚・。。・゚・。。・゚・。・゚・。。・゚・。。・゚・。。・゚・。。・゚・。。・゚・。。・゚・。
「ルーカス様、この度は大変ご迷惑をおかけしました。深く謝罪します。」
オレリーは娘が飛び降りたのには流石に堪えたのだろう。かなり憔悴している雰囲気だった。
「私は妻としても母親としても失格な女です、ソフィーを育てる資格はありません、今後は主が王都から戻って代官の引継ぎが済んだら教会にて入り贖罪の日々を過ごそうと思っています。」
「いや、そこまでしなくてもいいと思いますけど…」
オレリーは責任を感じたのはわかるが極端すぎないか?、なんかこの人極端な気がする。
ただ、一人で居場所がないって思ってるのなら、王家には戻れないだろうし教会っていうのもまんざら悪い選択ではないかもしれない、元王家の人間なら教会も邪険には扱わないだろうし・・
侯爵夫妻は自室へと戻っていった。
・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・
「久志?、あたしもここから飛んでもいい?」
「別にいいけど、かなりの確率で死ぬぞ・・・」
「えっ、だってソフィーは痛ーぃで済んでたじゃない」
「最初に飛んだ時を忘れたのか?」
「えっ・・私まだバンピーなの?」
「そうだよ、あくまでも眷属化の候補であって、眷属の候補にはなってないから加護は発動していないよ。」
「ひどい、すぐしてよ、いましてよ。早くーーっ」
「もう、引き返せないぞ・・・」
「もう、とっくに覚悟なんてできてるわよ」
奈津にはもう、何も言う事はないだろう。
『世界神メトナスの名に置いて汝、立川奈津をルーカス・ハミルトンの眷属となる事を命じる』
「はい、お受けします。」
答えると奈津は体に何かが入り込んでくるのを感じて…しばし固まった。
久志に対する愛情と尊敬の念がより強くなったのを感じた。
「どうだ?」
「うん、もう、体が火照ってめちゃくちゃにしてって感じかな?」
「そっかぁ、冷やすためにもそこから飛び降りてみろよ。」
「うん」
窓から下をのぞき込む…
ここは3階、恐怖心がわいてくるのはまともな感覚だ…
「無理、ちょっと無理みたい。っていうか。。絶対無理…」
(こんな高さから飛び降りるなんてソフィーは何考えてるのよ、それに飛び降りて死にかけたばかりだったのに・・おまけにあの時は久志はケガをしないとは一言も言ってないの…こ、怖いわ…あの子、私ではまね出来ないわ。)
「久志、お願い、先に飛べるようにして・・・」
「わかったよ、根性なし・・・」
「えぇ、チキンで結構です、痛い思いして喜ぶほどドMじゃないもん。」
「でも、ソフィーは凄いわね、死ぬほどの怪我をして痛かったでしょうに、その直後に久志に飛べと言われて何の躊躇もなく飛ぶんだもん、あそこまで行くともう宗教よね。
信者よ、信者、そのうちに久志のお風呂の残り湯だって聖水って言って飲んじゃうかもよ。」
(そりゃ、私だって久志の為って思えばたとえ死のうと体を張る自信はあるわ、でも、何の意味もなく飛べって言われてもねぇ‥説得力ないし…意味ないし…飛べないわ。。)
「ま、ソフィーはちょっと極端だな、でもまだ若いし変わっていけるよ。」
どう変わるかはいまいち、自信はないけれど…
その後、奈津にも飛び方を教えた・・・・
飛べるのを何度も確認した後、窓からいったん地面までゆっくりと降りていき、よたよたしながら、既に軽快に飛び回っているソフィーの後を追いかけていった。
後でソフィーには言っとかないとなぁ‥‥
緊急時以外はスカートで飛ぶなと…パンツ丸見えだよ。
俺は時折見えるソフィーのパンツを見ながら幸せを感じていた。
うん、平和の旗だな。
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