私達のちょっと変わった部室

書き物うさぎ

第1話



鞄を肩に掛け、持ち手を右手で握り第二部室棟の廊下を駆ける。たったったっ…と、足音が一定のリズムを刻んで屋内に響く。本当は、廊下などの通路は衝突の危険があるので走ってはいけない。しかし、先生に頼まれ手伝っていたら、すっかり遅くなってしまった。


「!…っとと」


うっかり部室を通り過ぎそうになって、身体の重心を右に傾け、急ブレーキをかけて止まる。扉には、部の名称が書かれた木のプレートが下げられている。部員に支給されている合鍵を使って解錠し、取ってに右手を掛け、部室に入る。

サムターンを回してきちんと施錠し、部屋の中を見た。部屋の真ん中奥には、少し小上がりになった畳敷きのスペースが有る。その真ん中に衝立を立て、男女に分かれ計三人の部員が黒い逆三角形を横に繋げたような形のグラスをかけ、仰向けに寝転がっている。

私は部屋の左奥にあるロッカーに鞄を仕舞い、代わりに三人と同じグラスを取り出す。そして靴を脱いで揃え、畳の上に上がる。もちろん、女子生徒が寝ている側だ。彼女と同じ様に仰向けに寝転がり、グラスを顔に掛ける。グラスのつるに付いたスピーカーから、『Are you ready?』と聞こえてくる。私は目を瞑り、笑顔で答えた。



「No problem. …let's go ‼︎ 」

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