ハブりと慕いの評価が分かれるカナタさんは正義の味方か否か、って話かな

「なあカトオ、最近カナタさんと仲良いな。付き合ってんのか」

「いや。ただ一緒に遊んだりしてるだけだよ。付き合ってるわけじゃない」

「ふーん。気をつけろよ」

「え?」

「お前までハブられるぞ」

「・・・別にカナタさんハブられてるわけじゃないだろ」

「へっ。カナタさんがクラスの女子と口喧嘩以外で話してるの見たことあるかよ」

「・・・」

「お前もあんま調子こくなよ。カナタさん、見た目は美人だから浮かれるのはまあわからんでもないけどさ。親友からの忠告だよ」


こいつって僕の親友だったろうか。


「ねえ、カトオくん。最近カナタさんと仲良いんだね」


またか・・・って、あれ? 上邑うえむらさん? とてももの静かな女の子で授業中当てられた時でも小声で喋るような大人しい子だ。その子がまたなんで。


「うん。まあ、一緒に遊んだりしてるよ」

「その・・・わたしもたまに混ぜてもらっていいかな・・・」

「え?」

「ダメ? やっぱり付き合ってる人同士の邪魔しちゃダメだよね」

「いや、別に付き合ってないからいいんだけど、上邑さんてカナタさんと仲良くしたいの?」

「うん・・・前からお話ししたかったんだけど、直接話し掛けるのはちょっと勇気なくて。あ、カナタさんだけじゃなくてもちろんカトオくんとも仲良くしたいよ」


その後、男女問わず5人ぐらいからカナタさんとの間を取り持って欲しい的な相談があった。いずれも大人しく目立たない優しい子ばかり。僕なりの分析は、小さな魚が身を守るために大きな魚の傘の下に入るように、カナタさんの庇護下に入りたいのかな、という感じだ。これはこの間カナタさんが珍しく政治の話題に乗っかってきた時にはっきりした。


「別に小悪党を目くじら立てて糾弾しようなんてつもりはないよ。けど、税金とか年金とか医療保険とか、人間の死活にかかる施策決定をする政治家が、せこくて小狡い手段で自分の小銭稼ぎしてたらやってらんないでしょ」


つまり、カナタさんさんの暴言・毒舌は、強きを挫き弱きを助く的な正論なのだ、やっぱり。

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