壱ノ不思議 廊下の怪(26p)
「フフフフッ。燈台下暗しだわね。早く部屋に荷物を運んでらっしゃい。私はここで食事の仕度をする事にするわ。台所までフラフラ歩いて来ちゃうくらいお腹がペコペコの人がいるんだものね」
クククッと笑い声を立ててそう言った雪絵お姉さんに、私は顔を真っ赤にして「違います! ペコペコじゃあ、有りません!」と怒鳴って雪絵お姉さんから荷物を受け取って、わざとドタドタ足音を鳴して部屋へ向かった。
背中に、雪絵お姉さんのクスクス笑う声を聞きながら、私はほっぺたを膨らませた。
「あの声のせいで恥かいちゃったわ! お腹ペコペコ何かじゃ無いのに! でも……」
でも、それにしても、あの声は何だったのかしら?
気のせい……。
「そうよ、気のせいよ。さっき気にしない事に決めたじゃあ、無いの」
そう呟いて、私は急ぎ足で部屋へ向かった。
今日からしばらく私の部屋になる部屋へ。
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