壱ノ不思議 廊下の怪(14p)

「ははぁーん、そう言う事」

 雪絵お姉さんはニヤリと笑う。

「早紀ちゃん、あなた、ここに逃げて来た訳ね? 友達から、フツウでいる事から?」

「逃げて来たって、嫌な言い方ね。逃避行したの! 田舎のおばあちゃんの所へ行くからごめんねって言えば皆だって仕方無いって思ってくれると思うし、ここにいる間は誰も遊びに誘って来ないじゃない?」

 雪絵お姉さんは私の台詞に大爆笑した。

「早紀ちゃん! ハハッ。あなた、逃避行って! 何処でそんな言葉覚えたのっ! フフフッ。良いわよ、ゆっくり逃避行して行きなさいよ! フフフフッ!」

「ひどい! そんなに笑わないでよ!」

「ごめんなさい。でも、そんな理由で、こんな田舎に二年振りにやって来るなんてね。フフフッ。でも、何となく分るわ、その話。私にも身に覚えがあるし、

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る