壱ノ不思議 廊下の怪(12p)

 ちなみに、Hの真中の線の下、左側のHの線と、右側のHの線に挟まれた空間に玄関と控えの間が有る。

 とにかく、説明するのが面倒になるほどに入り組んだ造りの家なのだ。

 居間に着くと雪絵お姉さんが用意してくれた冷たいお茶で喉を潤し、お土産に持って来たお菓子を食べてくつろいだ。

「それにしても、急に泊まりに来るとか言って来て、びっくりしたわ。早紀ちゃんに会うのは二年振りだったかしら。もう、中学生とはね。何年生なの?」

「一年生よ。ピカピカのねぇ」

 私が気怠げにそう言ったので、雪絵お姉さんはフフフッと笑った。

「学校はどうなのよ? 楽しくやっているの?」

「学校は……普通よ。でもソレ! ソレなのよ。何だか普通でいる事に疲れたのよね。普通の繰り返しに疲れたの」

「どう言う事?」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る