悪魔の鍵と幸福論
牛屋鈴
プロローグ:悪魔の鍵
少年は六才の頃に、両親を交通事故で亡くした。同じ車体の中、少年の目の前で体を折り曲げて死んだ。
少年がその事故について思い出せるのは、両親の歪んだ体と、真っ赤な赤信号だけだった。
しかし、少年は悲しむことなく、赤信号を無視したのだから自業自得だと、両親の死を割り切った。いくら高熱の息子をいち早く病院に届けたかったからといって、少年にとってそれは情状酌量の理由にはならなかった。
いや、そう割り切らなければ、悲しみでどうにかなってしまいそうだった。
それから、少年は規則という物に病的に執着するようになった。例えば、信号は必ず守った。
いつしか少年は、安心こそが最大の幸福なのだと理解する。
自分の周りから危険を徹底的に排除し、草木のように穏やかな日々を送る。そうして太陽と月が入れ替わるのを静かに眺める。そうすれば自分は満たされるのだと信じて疑わなかった。
そんな幸福論を胸に、人生を歩んでいた。
少年の名は、
・・・・・・
「つまらないなぁ」
「自ら尋ねておいて。自分勝手な奴だな」
昼休みは退屈だからと、僕の考える幸せについて尋ねたのは彼だった。
未だ時計の針は真っ直ぐに12と1を指していて、教室では他の生徒が思い思いに喧噪を作っている。
「いやぁ、だって本当につまらなかったから。高校生らしくない、爺臭い考えだったから」
安心できる暮らしがしたい、なんて。杉越はそう言って吐き捨てるようだった。
「爺臭いって……僕はまだ17だぞ。それに、二度留年しているお前の方が年寄りに近いじゃないか」
僕は彼のブレザーのワッペンを指した。その少し褪せた緑色は、昨年卒業した先輩達の学年の色だ。今僕らは高校二年生なので、彼は二回留年していることになる。
「それは違うよ。高校生活とは青春そのものなのだから、つまり、人より長く青春を謳歌している僕が年寄りな訳がないだろう」
筋の通っていそうで、全く通っていない話だった。
彼がこんなに下らない話をするのは、退屈しているからという訳ではなく、特に理由はない。彼はいつでも下らない話を考えてはそれを話す。
それを実にもっともらしく語るのだからタチが悪い。
「それは詭弁だろう」
僕は彼の論をよく否定する。否定しない方が珍しい。
「えー、えー、詭弁ですとも。しかし君の幸福論の方がよっぽど詭弁だね」
椅子を揺らしながらの彼の言葉に、僕は少し遺憾を覚えた。
僕はこの幸福論を、齢六才の頃に思い、心の中で幾度となく反芻し、その正しさを嚙み締め確信した上で、僕の生き方の最も大きな指針として扱ってきたからだ。
「この幸福論のどこに矛盾が有るんだ」
「そうだなぁ。数えればキリがないが、とりあえず一つ」
彼が左手の人差し指を天井へ真っ直ぐ立てた。
「完璧な安心を築くのは、無理だ」
完璧な安心を築くのは、無理。
彼の言葉を瞬時に心で繰り返してみたけれど、同意することはできなかった。また、同意する訳にも行かなかった。
この幸福論は僕の人生であると言っても過言ではなく、それを否定することは僕の人生を否定することになるからだ。
「無理?確かに難しいかもしれないが、きっと不可能ではないはずだ」
しかし、僕がこうして反論しても、彼の口振りが変わることはなかった。
「いいや、不可能さ。例えば君、月と太陽が入れ替わるのを眺めると言ったね」
「それが、どうした」
「もし、その太陽が君に落ちてきたらどうする?」
・・・・・・
夕日が沈むのが好きだ。月が見えるのが好きだ。
朝日が上がるのが好きだ。月が見えなくなるのが好きだ。
安アパートの階段を登りながら夕日を眺める。それは地平線で煌々と輝き、西に浮かぶ月の姿を薄めていた。
太陽と月が空で入れ替わり続ける。
それは誰も何もしなくても、これまで続いてきたことで。また、誰が何をしたって止められることではない。
絶対に揺るぎない事は、そして、絶対に揺るぎない事が存在するという事実は、僕を安心させてくれる。だから好きだ。だから眺める。
だがもし、その、揺るぎない事が、揺らぐとしたら。
彼の言う通りにあの夕日が、僕を目掛けて落ちてきたら。
確かに、そうなれば僕はそれを防ぐことはできない。僕以外の人間だって一人残らず死んでしまうだろう。
だがしかし、その可能性はない。ありえない。揺るぎない事は、揺るぎない。
つまり、彼が否定したのは僕の幸福論ではなく世界の前提そのものであり、その否定が正当な物かどうかは、あの夕日を見るより明かだということである。
「……馬鹿らしい」
夕日から目を逸らす。僕は自分の部屋、203号室の扉に鍵を差し、がちゃりと開いた。
僕は、しっかりとかけた錠を開けて自分の家に入る瞬間が好きだ。
僕はこの部屋に一人暮らし……この空間の中だけは、誰も侵さない。侵せない。ここは僕が最も安心できる場所であり、錠を開ける、閉めるという行為は、それを象徴する儀式でもある。
「おかえりなさい」
だが、何故か誰もいないはずの部屋から声が聴こえる。
「え……」
リビングに一人の男が正座していた。
男は真っ黒な燕尾服にシルクハット、まるでマジシャンのような恰好をしていて、そんな服装から飛び出るように髪と肌の色が白かった。
顔面には作り物のような笑顔が張り付いていて、これまた真っ白いトラバサミのようなギザギザした歯をキラキラさせていた。全身から奇妙な、こちらの理解を越えた雰囲気を発していた。
「だ、誰だお前、どうやって入った」
侵略者に身構える。
「そんなに身構えないでください、遥さん。少しお話をさせていただきたくて、ここに来ました」
男は、僕の質問に答えない。そして何故か僕の名前を知っていた。
「……出てけ、警察を呼ぶぞ」
「ですから、お話を……」
「出てけっ!」
僕が叫ぶと、男は少しめんどくさそうな顔をして、素直に腰を上げた。
「……分かりました」
男がすごすごと僕の横をすり抜ける。僕は、廊下の壁に背中を合わせ、極力、男に近づかないようにした。
そして、男が部屋の扉を開けて外へ出たのを確認すると、急いで扉の鍵を閉めた。チェーンもかける。
「……はぁっ」
訳が分からないまま、汗が噴き出る。あいつは一体、何者で、何が目的だったのか。
素直に部屋を出て行ったことも謎だが、とりあえず一番の謎。あの男がどこからこの部屋に入ってきたのか確かめることにした。
リビングを見ると、窓が開いたままになっていた。どうやら閉め忘れていたらしい。毎朝チェックしているし、今朝もちゃんと確認したはずだが、不足があったのだろう。
安心安全こそが幸福と言っておきながら、不甲斐ない。
これからはより一層、安心にこだわろうと誓いを込めて、窓の錠を閉め直そうとした。
だが、閉まらない。
「……?」
ガチャガチャとしつこく錠を回す。しかし、途中で何かが引っかかっているのか最後まで閉まらない。
一度、無理矢理に閉めようと力を込めたその時だった。後ろから、つまり部屋の扉の方から、がちゃりと錠の開く音がした。
玄関に戻ると、何故かチェーンが外れていて、錠も開いていた。以前、僕の部屋の鍵はポケットに入ったままで、合い鍵などは一つも作っていない。あの錠を開ける方法は、何一つない。はずなのに。
男が扉を開き、僕の城を再び侵略する。
僕に目掛けて落ちる、太陽のごとく。
「さぁ、遥さんの言う通り部屋を出ましたよ。これでお話を聞いていただけますか?」
「……戻ってきたら意味ないだろ!」
自分でも、何かズレたことを言った気がする。
「……?ですが、戻らないとお話ができません」
男が不思議そうに首をかしげる。不思議がりたいのはこっちだ。
「お前は一体何なんだ!ど、どうやって鍵を開けた!お話ってなんだ!」
「はい。では、一つ目の質問から答えて行きましょう。私の名前はベルコーシャ=ガロガガ。人間が言うところの、悪魔です」
悪魔……。突飛もない話だが、何となく信じている自分がいた。
「そして、二つ目の質問ですが……」
男が手のひらから、浮かぶ茶柱を摘み取るように、一本の銀の棒を取り出した。
それが手品でもなんでもない、実際に男の体内にしまい込まれていた物だということを、僕の体が気配で悟った。
「『
男が銀の棒をかざす。その棒は男の小指ほどの長さで、凹凸がなく、ちょうどスケルトンキーから合い型を消したような形をしていた。
「『鍵』……?それで、僕の部屋の扉を開けたと?」
「はい。この『鍵』はなんと、あらゆる錠の開閉を自由にできます。あなたが見たようにチェーンロックくらいなら、ついでに開け閉めできます。さらに、一度この『鍵』で開閉した物は、二度とこの『鍵』でしか開閉できません。絶対に安全な密室を作る事ができるのです」
なるほど、だから窓の錠が閉まらなくなっていたのか。
男の説明はまるきりファンタジーの域に達していたが、目の前で見たからには、信じざるをえない。
あの『鍵』は、僕の安心の象徴である、錠をいとも
「最後に、三つ目の質問に答えましょう。私は、遥さんにこれを売りに来ました」
そう言って、男は『鍵』を振った。
「売る……?」
「はい。こちらの『鍵』のお値段は、寿命二年となっております。どうでしょう。私に魂、くれませんか?」
悪魔と、寿命の取引。破滅的な予感がぷんぷんする。
しかし、正直に言えば、
「欲しい。ですよね」
男が、僕の思考の先を読む。
「完全で安全な密室が作れる。これは遥さんにとってとても魅力的なはずだ。さらに言うなら、この『鍵』を自分以外の誰かが持っているなんて、安心できないのではないですか?」
……さっきもそうだったが、男は安心や安全という言葉を強調して話す。どうやら僕の名前だけでなく、色々知っているようだ。
昼休みを思い出す。彼が、どこまで本気で言っていたのかは知らないが、太陽が落ちてきたら。とは、この悪魔の存在を言っていたのではないのだろうか。
そして、この悪魔とその道具の存在を持ってこそ、彼の論を否定できるのではないか。
あの『鍵』を使えば、たとえ太陽が落ちて来ても。それに耐え得る、真の安心の城を築くことができるのではないか。
僕は、男が言う通りあの『鍵』が欲しかった。寿命が二年減ったって、それ以上の安心が得られると思った。
けれど。
「……僕は、確かにお前の『鍵』が欲しい。けれど、お前のことが信用できない」
「私が、悪魔だから。ですか」
「そうだ」
悪魔が人を幸せにする物語を、僕は知らない。
僕がそう答えると、男は困ったような声を出した。
「うーん。私は正確には悪魔ではないんですがね。人間の知る概念の中で、悪魔が一番近いからそう名乗っているというだけで」
「それでも。信用できない」
「心配性ですねぇ。でも、だからこそきっと、貴方は私と契約してくれるはずだ。そうだ。お試し期間を設けるというのはどうでしょう」
「……お試し期間?」
「これから四十八時間。つまり、二日間だけ、この『支配鍵』を貴方に貸しましょう。私に返すか、寿命を二年払って『支配鍵』を自分の物にするか。二日後に決めてください」
お試し期間。それなら良さそうだ。
大丈夫。僕は僕を律することができる。二日後にきっと正しい判断ができるはずだ。
「分かった。受けてみよう、お試し期間」
僕がそう言うと、男は嬉しそうに口元を歪めた。
「ありがとうございます。では、『支配鍵』を渡すので手のひらを出してください」
男の言う通りに右手を出した。
男は僕の手のひらに『鍵』を突き立て、そのまま手のひらに『入れた』。
「うわっ……」
『鍵』がずぶずぶと手のひらに沈んでいく。痛みは無い、が、冷たい真水が血管に混ざるような感触がする。
そして『鍵』は、僕の手のひらの上から完全に姿を消した。
「はい。これで『鍵』は一時的に貴方の物になりました。使いたい時は、念じれば出ます」
念じてみると、男の言う通り、『鍵』が手のひらから滲み出た。実際に自分自身の体で体験してみると、これが人智を越えたものだということがよく分かる。
リビングに戻り、窓の錠に『鍵』を押し当て、閉まるように念じる。すると『鍵』の銀色の表面に青白い稲妻のような物が走り、がしゃり、と扉の閉まる音がした。
それから錠をいくら回しても開かない。音だけではなく、きちんと閉まっている。
「……まだだ。もう少し、実験する。信頼できても、二日ギリギリまで粘る」
「疑り深いですねぇ……。ですが、いいですとも。いくらでも疑ってください。そして最後に信用して、契約してください」
「信用できればな」
それから、僕は財布を持って玄関へ向かった。
「おや、どこか出掛けられるのですか?」
男が僕の横に付いてくる。
「どこでもいいだろ」
扉をくぐる。早速、『鍵』を使って扉を閉めた。
「御伴しましょう」
男が仰々しく手を胸にかざしてお辞儀した。
「僕がこの『鍵』を持ち逃げするかと疑っているのか?」
「いえいえ、私は遥さんと違ってそんなに疑り深くはありません」
「じゃあなんで付いてくる」
男の高そうな靴が、安アパートの狭い階段を踏み、コツコツと小気味良い音を鳴らしている。
「遥さんが事故で死んだりしたら、すぐにその『支配鍵』を回収しなければなりませんので」
「……その心配はない。安心してくれ」
僕は、信号は絶対に守るのだ。
・・・・・・
目的地へ歩みを進める程、人気が無くなって行く。
子供を遊ばせるには、少し不安な、人気の無い場所に目的の公園は有った。
「静かな所ですねぇ」
ガガ(と呼んでくれと言われた)がぼやく。
夜だから、という訳ではなく、実際に、数年誰も訪れていない様な雰囲気だった。
その公園には、小さな寂れた倉庫がある。
「この倉庫の扉を開けられるか、確かめる」
「先程、遥さんの目の前で『鍵』の能力を披露したではありませんか。あれでも信じられませんか?」
「信用しない。できない。僕の扉に、何らかの仕掛けが施されていたのかもしれない。他の扉でテストする」
いかなる時も、こいつが僕の命を付け狙う悪魔であるということを忘れてはならない。僕は、こいつの言うことは基本的に信用しないスタンスを貫こうと心に決めていた。
僕がきっぱり言い放つと、ガガはため息交じりに首を振った。
「そうですか。しかし、こんな人気のない所まで来なくてもよかったでは?」
目の前の倉庫を見やる。この『鍵』が本物かどうかを確かめるだけならば、隣人の扉で試したっていい。
「でも、街の扉の多くは、勝手に開けるだけで犯罪なんだ。この『鍵』の事はあまり他人に知られたくないし、人気の無い公園の倉庫が、実験に一番適してる」
この『鍵』で開閉したものは、この『鍵』でしか開閉できなくなる。これは僕自身が試して確かめた事実だ。
なので、誰かが日常的に使っている扉で実験するとまずい。この寂れた倉庫なら、誰も使っていないだろう。
「なるほど」
取り出した『鍵』を倉庫にかかっている南京錠に押し付け、開ける。
パキン。と乾いた音が夜の公園に響く。とりあえず、『鍵』がこの倉庫の扉に使える事が証明された。
「私の言った通りでしょう?」
「……とりあえず、あらゆる錠の開閉を自由にできる。っていうのは、信じてやらんでもない」
まだ完全には信用していないという態度で、ガガへ返事する。
そして僕が、証拠隠滅のために倉庫の扉を閉めなおそうとした時だった。
がたり、と倉庫の中から、くぐもった物音が聞こえた。
……誰か居る、のか?
急いで倉庫の扉を開ける。
「……え?」
倉庫の扉を開けると、そこには少女が横たわっていた。
年齢は十四歳前後くらいだろうか、どこかの中学の制服を着ていて、その制服は所々薄汚れている。
口元にはガムテープを貼られていて、そして、手足を手錠で柱に繋がれていた。
監禁、されていた。
「……えぇと、私、人間の事はあんまりわかんないんですけど……これは?」
ガガが尋ねる。けれど、僕はそれに対する答えを持っていなかった。
「分からん。けど、助けなくちゃいけない事は確かだ」
倉庫の中に入る。この『鍵』があれば、あの手錠も外せるはず。
そう思い、少女に近づいた時、少女がこちらに強い視線を向けた。
「んんんー!!」
僕らを、睨みつけているようだった。
「大丈夫。今……」
「んんー!!んー!!」
少女が体を捩らせ、喉を鳴らす。パニック状態のようだ。
「わ、分かった。先にガムテープを外すから」
少女の口元に貼られたガムテープをべりべりと剥がす。これで喋れるようになってパニックも少しは収まるはずだ。
しかし、ガムテープが剝がされるやいなや、少女は叫んだ。
「変態!!」
小さな倉庫から放たれたその声は、公園中にこだました。
「元気ですねぇ」
ガガが場違いな、平和な声を出す。
僕は急いで倉庫の扉を閉めなおした。
倉庫内はほとんど真っ暗になったが、扉の隙間から差す月明りで、ぎりぎりお互いの姿は見えていた。
「あっ!扉閉めて何するつもり変態!」
少女がさらに威勢よく吠える。扉を閉めたとはいえ、外に漏れていないか心配だ。
「違う。聞いてくれ、僕は……」
「出てけっ、どっか行け変態!」
僕の話を聞かず、少女は手錠が動く範囲で精一杯暴れ続けた。
今、少女の拘束を解いてしまうのは危険極まりなかった。
「先に誤解を解かせてくれ、僕は君にどうこうするつもりはないんだ」
「じゃあ何でこんな所に閉じ込めたの!」
「君をここに閉じ込めたのも僕じゃない!」
「じゃあ何でここに居るの!何で倉庫の扉を開け閉めできるの!」
「……う」
この『鍵』の事を言っても、信じてもらえないだろう。信じてもらえたとしても、それを無実の証明として受け取ってくれるかどうかも怪しい。
「どうしたの!何も言えないの誘拐犯!」
僕は、少女の口にもう一度ガムテープを貼り付けた。
「むぐー!?」
少女がより一層強く体を捩り、暴れようとするが、これ以上は手首足首に手錠が食い込むだけだった。
口と体をある程度塞いでしまえば物音は比較的小さくなった、人気の少ないここなら、誰も少女が監禁されているなんて気が付かないだろう。
そして実際、今まで誰も気が付かなかったのだろう。
「……今日は帰る」
「んぐー!!んんんんー!!」
彼女の唸り声を尻目に、僕は倉庫を後にした。きちんと鍵もかけた。
「彼女を、助けてあげないのですか?」
ガガが公園の方角へ振り向きながら、僕に尋ねた。
「今、彼女を解放したら僕が犯人ってことになっちゃうだろ」
あの倉庫の扉を開けたのは、失敗だった。厄介な事になった。
「放っておくのですか?」
「放っておいても、いつか警察にバレた時に僕が犯人になる」
「じゃあ、どうするのです?」
「……真犯人を見つける」
僕が無罪だと証明してみせる。
揺るぎない安心を築いてみせる。
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