あんずさんの使い魔

 仕事を休んだ恵比寿青年は、七海の部屋の掃除をすると言い出す。


「いくら恵比寿さんでも、私の部屋は勝手に触らないで」

「奥さん、夫婦げんかは後にしてもらえますか。旦那さん、ちょっと屋根に登って瓦の状態を見ましよう」


 ふたりの様子に見かねたリフォーム業者のおじさんが七海に助け船を出し、恵比寿青年を部屋の外に連れて行く。

 ひとりになった七海はベッドに腰掛けようとするが、なんとなく湿っているみたいで腰を上げる。

 天井からガサゴソ物音がして、リフォーム業者のおじさんと恵比寿青年の話し声が聞こえる。

 

「この部屋にパンダのモノノケの……気配は無い。恵比寿さんが仕事を休んで手伝ってくれるんだから、ちゃんと部屋の掃除しなくちゃ」

 

 とりあえず服を全部洗濯しようとゴミ袋(大)2つに洋服を詰め込み、一階の洗濯機まで運ぶのが面倒くさいのでゴミ袋を階段から転がすと、下から「ぎゃあ」と悲鳴が聞こえた。

 偶然階段の真下にいた小さいおじさんが、落ちてきたゴミ袋(大)に押し潰されたらしい。


「ゴメン、小さいおじさん。恵比寿さんと一緒じゃなかったの?」

「娘よ、ワシはお前に話があって……」

「私、部屋の掃除しないと恵比寿さんに怒られるの。話は後で聞くよ」


 服を洗濯機に押し込む七海を見つめていた小さいおじさんは、しょんぼりと肩を落として仏間に引っ込んだ。

 しばらくしてリフォーム業者のおじさんと恵比寿青年が屋根から降りてくる。


「奥さん、雨漏りの原因は屋根の老朽化じゃありません。裏の竹林から何かが屋根に落ちて瓦が割れたようです」

「屋根は上等な和瓦で、全部取り替える必要はないそうだ。外壁も修繕も必要ない」

 

 リフォーム業者のおじさんは屋根の上で撮影した画像を七海に見せながら、工事の内容と見積もりを説明する。

 それは納得の行く内容で、金額も怪しいリフォーム業者の半分以下。

 工事費を4回分割払いすれば、七海の稼ぎでも充分払える金額だ。


「これってまた私、うっかり騙されるところだった?」

「他の業者にも見積もりさせろと、僕は何度も言ったはずだ」


 最初から恵比寿青年の言うこと素直に聞いていれば、無理に働いて疲労で倒れることもなかった。

 七海は改めてリフォーム業者のおじさんに屋根の修繕を依頼して、すべての打ち合わせが終わる頃には、壁の時計の針が真上を指す。


「もうこんな時間、急いで大黒天様の昼食を準備しなくては。冷蔵庫にあるあり合わせの食材で作れそうなのは、野菜かきあげうどんと親子丼。大黒天様どちらがいいですか?」

「小さいおじさんが背中を向けて座っている。雨漏り工事の打ち合わせで相手にしなかったから、すねているの?」

  

 七海の声掛けにゆっくりと振り返った小さいおじさんは、眉がへの字になっている。


「大黒天様、どこかお具合が悪いのですか?」


 恵比寿青年が心配して声をかけると、小さいおじさんは首を振って仏壇を指さした。


「娘よ、あのパンダの正体が分かったぞ。神無月で力を失ったワシは、あんずさんに娘の働き過ぎを止めてくれと頼んだ」

「そうか、天願さんの霊力でも払えないパンダのモノノケ。それを使役できる人物は、ひとりしか思い浮かばない」

「えっ、ふたりとも何の話しているの?」


 恵比寿青年と小さいおじさんの話を理解できなくて、七海は首をかしげる。

 

「天願さん、あのパンダは、あんずさんの使い魔だ」


 パンダはあんずさんの使い魔だ。と言われ、七海はその場で固まってしまう。

 七海はこれまで小さいおじさんやミニ竜、色々不思議なモノを見てきたけど、パンダがあんずさんの使い魔だなんて突拍子も無い話だ。


「疲労こんぱいの娘を見かねたワシは、働きすぎを止めてくれとあんずさんの仏壇に手を合わせた。あんずさんはワシの願いを聞き入れ、パンダのモノノケを遣わしたのだ」

 

 だからパンダのモノノケは、小さいおじさんの願いを叶えるため、七海を押し潰して早朝バイトに行かせないようにしたという。


「あんずさんは黒柳徹子じゃないし、あんずさんがパンダで私を苦しめるなんて信じられない」

「パンダは腹の上に乗っかっているだけで、娘を苦しめてはいないぞ。今日はパンダがいてもグーグーいびきをかいて寝ていたではないか」

「大黒天様、少し気になることがあります。何故パンダは早朝バイトが休みの日も現れたのですか。僕はパンダのモノノケは、天願さんに何か伝えたい事があるのではないかと思います」


 恵比寿青年は、明日パンダを待ち伏せて居場所を突き止めると話す。

 小さいおじさんがワザとらしくお腹を押さえながら、上目遣いで恵比寿青年を見た。

 

「ところで恵比寿よ、ワシはお腹が空いた。親子丼とかき揚げうどん、両方食べたい」

「ああっ、大黒天様をお待たせするなんて申し訳ありません。それでは急いで昼食を作りましょう」

「恵比寿さん、私のうどんは半玉でお願いします」


 料理に注文を出す七海に、恵比寿青年は軽く肩をすくめると台所へ向かう。

 しばらくして鶏肉を黄金色の卵でとじた親子丼と、鰹出汁にコシのある麺が絡まったうどん、シーフードと野菜のかきあげが運ばれてきた。


「からりと揚がった小エビと貝柱のかき揚げはサクサクで美味しいぞ。うどんも鰹だしの香ばしいかおりがするぞ」

「タマネギと一緒に柔らかく煮込まれた炭火焼きっぽい鶏肉が美味しい。親子丼に添えられた少し辛めの野沢菜で更にご飯が進む」


 以前は小さいおじさんひとりぶんの食事しか用意されなかったが、今は小さいおじさんと七海の二人分の食事が並んでいる。 

 恵比寿青年は、冷めた料理を食べさせたくないだけだと言うが、明らかに七海を意識していた。

 



 昼食後、七海の汚部屋掃除を再開。

 七海は恵比寿青年の手伝いを嫌がっていたが、ひとりでは一週間かかっても掃除を終えそうにない。

 移動したベッド下から大量のガラクタが出てきて、恵比寿青年は心を無にした表情で、発掘された破れたストッキングをゴミ袋に入れる。

 汚部屋にあった大量の服を洗濯して、物干し竿から溢れた服は仕方ないので仏間の鴨居に掛けた。


「ただいま七海 ねーね。うわぁ、この洋服どうしたの?」


 夕方、学校から帰って来た真琴は、和室の真ん中の鴨居に引っかけられた服を見て、驚きの声をあげる。


「お帰りなさい、真琴ちゃん。服を干す場所がないから仕方ないの。着れそうな服があったら貰っていいよ」

「うーん、私の身長だとMサイズの服は丈が短いからお直ししてもらうの」

「真琴ちゃんはモデル体型のお嬢様だから、服もオーダーメイドなのね」


 七海はMサイズぴったりの体型で、YニクロとしMむらを愛用している。


「真琴ちゃんは奥の和室で寝るから、少し服を減らさなくちゃ。恵比寿さんに近所のコインランドリーまで車を出してもらおう」

「僕は午前中から働きづめで、これから夕飯を作るのに、君はこれ以上こき使うつもりか?」

「私の部屋は掃除しないでっていったのに、勝手に掃除したのは恵比寿さんじゃない」

「桂一 にーにが七海 ねーねにプロポーズしたって聞いたけど、仲が良いのか悪いのか分からないよ」


 ふたりの様子を面白がる真琴の発言に、七海の顔色が変わる。


「真琴ちゃん、プロポーズの噂をどこから聞いたの!!」

「ディスカウントストアの店長の奥さんから聞いたよ。それで桂一 にーににSNSで聞いたらグループメンバーにプロポーズがバレちゃった」

「そういえば僕のスマホは鞄に仕舞ったままだ」


 真琴の言うSNSグループは、恵比寿青年や会社従業員、親戚の叔父さん叔母さんも含まれている。

 

「真琴ちゃんの親戚にプロポーズの噂が知られたの? 私と恵比寿さんは小さいおじさんを巡るライバルで、恋人とかそう言うのではないから」

「七海 ねーね、普通の人に大黒天様は見えないから、その言い訳は通用しないよ」

「真琴。プロポーズの返事は、天願さんがその気になるまで保留中だ」


 恵比寿青年は真琴の話をさえぎるように声を掛けると、ひっきりなしに震えるスマホのバイブを切って鞄に戻した。

 

「七海 ねーね。保留しないで、さっさとOKしたらいいのに」


(OKもなにも、プロポーズ以前に、私たちの間に恋愛感情はあるの?)

 瞳をキラキラ輝かせて見つめる真琴の視線が痛い。

 七海はその場から逃れるように鴨居に干した服をビニールに詰めると、外に飛び出して自転車で近所のコインランドリーに向かった。 

  

 

 ***



「夜明け前が一番暗い。という諺があるが、今まさにその時刻ですね」


 深夜四時、時折強い風が吹き天願家の背後に生い茂る竹林が騒々しくざわめく。 

 恵比寿青年は運転席のリクライニングを元に戻して車から降りた。

 今夜こそパンダの正体を見極めるため、天願家の門の前に車を停め外部からモノノケの侵入を防ぐ結界を張った。

 天願家の玄関に明かりがつき、その合図で恵比寿青年は家の中に向かう。


「七海 ねーねったら、さっきまで起きていたのに急に寝ちゃったの。大黒天様はパンダのモノノケが現れたって言っている」


 七海に付き添っていた真琴が、焦り顔で恵比寿青年に話しかける。


「恵比寿よ、神無月が過ぎた。ワシの力が戻ってきた」

「大黒天様、外からモノノケが侵入した形跡はありません。やはりパンダはこの家のどこかに潜んでいます」


 仏間の前に敷かれたせんべい布団の上に寝ている七海が、寝苦しそうにうめき声を上げていた。

 霊力を取り戻した小さいおじさんは、七海のお腹の上に乗ったパンダに飛びかかる。


「娘よ大丈夫か、ワシの霊力でパンダを退けて、うわぁ、重いっ!!」


 いくら霊力を取り戻しても、サイズが違いすぎる。

 七海の腹の上に飛び乗った小さいおじさんは、パンダのモノノケに押し潰され仰向けで手足をばたつかせている。

 

「きゃあ、大黒天様の体が潰れて、カエルみたいに平べったくなっている」

「大黒天様、今助けます。だめだ、僕程度の霊力では大黒天様に触れることも、パンダのモノノケを退けることもできない」


 神無月が開けて力を取り戻しても、宝物が不足した大黒天の半端な神力では、膨大な霊力を持つあんずさんの使い魔に太刀打ちできない。


「天願さん、意識を取り戻せ。このままでは大黒天様が危ない」

「このままではワシがぺちゃんこになってしまう。早く、助けてくれぇ」


 小さいおじさんの声が聞こえたのか、せんべい布団の上で大の字になって寝ていた七海の鼻息が荒くなる。

 七海の第三の眼は、パンダのモノノケの正体をはっきり捉えていた。


「ううっ、私の部屋が雨漏りして怪しいリフォーム屋に騙されそうになるし、恵比寿さんに汚部屋を見られるし、悪いことばかりよ。小さいおじさんが痛がっているじゃない、私の上から居なくなれっ!!」 


 七海は全身に力を込め、腹の上に乗っかるパンダを跳ね除けて起き上がる。

 するとパンダは七海の手のひらをすり抜け、鉄板を手のひらで叩いたようにビリビリと痺れた。


「いっ、痛ーーっ。そして、めっちゃ堅い!!」


 思わず七海が叫ぶと、次の瞬間、パンダのモノノケは眩い金色の光を発しながら姿を消す。

 しかし七海の第三の眼は、金色の残像が消えた先、奥の和室の押し入れの襖が微かに開いたのが見えた。


「恵比寿さん、パンダは奥の押し入れに逃げた」

「えっ、怖い。私が寝ている部屋の押し入れに、パンダのモノノケが潜んでいるの?」

「大黒天様、モノノケが逃げ出さないように、押し入れの襖を封印してください」


 小さいおじさんははりきって、押し入れの襖を両手でペタペタ触れて封印をする。 

 やっとパンダのモノノケの居場所が分かったのに、何故か七海は渋い顔をした。


「七海 ねーね、この押し入れの中には何があるの?」

「こっちの押し入れには、ダメ親父の私物を押し込んでいるの」

「天願さんの父親の私物は、勝手に触ってはいけないのか」

「ダメ親父は「この家にあるモノは全部私にやる」と言って、あんずさんの貯金を全部持って行ったから、押し入れを勝手に調べても大丈夫」


 七海は投げやりな口調で返事をする。


「大黒天様、場合によってはパンダのモノノケの本体、付喪神の触媒を壊すこともあります」

「あんずさんの使い魔だから、できるだけ傷つけたくない。娘よ、どうする」

「中にあるのはダメ親父の趣味の悪いガラクタばかりだから、押し入れの中も断捨離しよう」

「七海 ねーねのお父さんってハンサムで女癖が悪くて、そのせいでねーねはイケメン嫌いなのね」


 超絶美形でジゴロのダメ親父の私物に、真琴は興味津々の様子。

 恵比寿青年は押し入れの襖に手をかけて勢いよく外すと、中から思いも寄らぬモノが飛び出し、それを見た真琴が悲鳴を上げる。


「えっ、きゃあーーっ、生首ぃ!!」

「落ち着いて真琴ちゃん。これは美容師の使うウィッグマネキンだよ」

 

 押入れからマネキンの頭部が数個転がり出て、それを見た真琴は腰を抜かして畳の上に座り込む。


「て、天願さん、これは僕でも驚く。前もって言わないと心臓に悪い」

「マネキンの頭なんて、知らない人が見たら怖がるから、押し入れに押し込んだの」

「おおっ、中から娘の父親の写真が出てきたぞ。綺麗なおなごと一緒に映っているが、娘の母親か?」

「大黒天様、その人物は見覚えがあります。彼女は今人気の大女優Aですよ」

「大女優Aと腕を組んでいる、細マッチョで鼻が高くて凄い色っぽい男の人が、七海 ねーねのお父さんなのね」

「真琴ちゃん、その男は顔がイイだけで女癖の悪いダメ人間だよ」


 その後も押し入れの中から珍しいガラクタが出てくる。

 恵比寿青年は何故かアルマジロの剥製に興味を示し、小さいおじさんは古い洋酒を見つけて飲みたがり、パンダの付喪神探しが進まない。


「娘よ、ちょっと酒の味見をするぞ」

「今はパンダのモノノケを探すのが先よ。お酒は後で飲んで」


 押し入れのガラクタが部屋一杯に広げられ、七海は大きなため息をつく。

 すでに夜は明け、つけっぱなしのテレビから朝のニュースを読む女子アナの声が聞こえる。


「どうして私が、ダメ親父の私物を整理しなくちゃならないの」

「かなり個性的な父親みたいだが、天願さんも少し冷静になってくれ」

「これだけ調べてもパンダは見つからないし、なんだかとても疲れた。とりあえず剥製とマネキンを押し入れの中に戻そう」

「ええっ、私の寝る部屋に不気味なマネキンを置かないで!!」


 真琴は青ざめた顔で怖がるので、ウィッグマネキンを押し入れに戻すことは出来ない。


「でもマネキンの頭を外に置くわけにいかないし。これって燃えるゴミ、燃えないゴミ? そうだ、とりあえず恵比寿さんの車に乗せておこう」

「君は本当に、僕の車を便利な貨物車としか思ってないだろ」

「恵比寿さんは真琴ちゃんのにーにだから、マネキンを引き受けてくれるよね」

「ああ分かった。僕が一時マネキンを引き取って、屋根の雨漏り工事が終わったら君の部屋の天井裏にマネキンを仕舞おう」

「えっ、私第三の目で天井裏も見えるのに、そこにマネキンの首を並べるのやめてよ!!」


 前日の大掃除と徹夜明けの七海と恵比寿青年は、変なハイテンションでくだらない痴話げんかを始める。  

 真琴はそれを横目で眺めながら、押入れから象の置物を手に取った。

 それは海外土産でよく見かける、カラフルなペイントがされた象の貯金箱だ。 


「あれ、この貯金箱少し重たい。中にお金が入っている」

「その貯金箱は、ダメ親父が外国の小銭とかスロットのメダルを貯めていたの」

「七海 ねーね、貯金箱の中身を取り出せない?」


 貯金箱に興味を示した真琴は、中の小銭を出そう貯金箱を逆さにして振り回す。

 その様子を、小さいおじさんは真剣に見つめていた。


「財運の神である弁財天が興味を示したということは、この貯金箱には何かある」

「そんなにダメ親父の貯金箱が気になるなら、割って中身を確認しよう」

「天願さん、それは後回しにして、パンダの供物神を探すのが先だ」


 中身の見えない黒いゴミ袋にウィッグマネキンを詰め込んでいた恵比寿青年は、掃除をさぼって遊びだす七海たちに少し苛立つ。

 しかし七海も真琴も小さいおじさんも、恵比寿青年の声が聞こえない様子だ。


「七海 ねーね、この貯金箱とても堅いよ」

「えっと、貯金箱を割るハンマー、どこに置いたかな」

「娘よ、ハンマーならワシの打ち出の小槌を使うがよい」


 小さいおじさんが大黒天の宝物である打ちでの小槌(肉叩きハンマー)を取り出すのを見て、恵比寿青年は慌てて駆け寄る。

 

「三人の神に第三の眼を持つ高位の巫女。古い酒は御神酒で剥製とマネキンの頭は生贄の真似事なら、これは高位のモノを呼び出す儀式だ」


 恵比寿青年の目の前で、小さいおじさんは打ち出の小槌を象の貯金箱に降りおろす。

 パリンッ

 陶器の割れる乾いた音がして、中からさまざまな種類のコインが現れた。


「ほとんどスロットゲームのメダルと外国のコインだね。ちょっと真琴ちゃん、注意しないと割れた破片で指を切るよ」

「七海 ねーね。この大きなメダルを、どうやって貯金箱に入れたの?」


 真琴は小銭を無視して、紫色の布に包まれたモノを手にする。

 布に包まれていたモノは、500円玉より大きな薄汚れたメダルだった。


「メダルに中華人民共和国って書かれているから、海外旅行土産の記念メダルみたい」

「真琴、そのメダルに何か変わったところはないか」

「別に変わったところはないけど、メダルの後ろに、あれ、パンダの絵が描かれている」


 真琴はメダルの表面に描かれたパンダの絵を確認しようと、紫色の布で表面をこすると薄汚れていたメダルの表面が磨かれる。

 財運の神である弁財天が清めたメダルは、眩い金色の光を放ち始めた。


「パンダってまさか、海外旅行の記念メダルがモノノケの正体?」

「天願さん、これは記念メダルじゃない。なるほど、力のある霊能力者だったあんずさんにふさわしい使い魔。大きさは70ミリ厚み5ミリ以上ある12オンスパンダ金貨だ」

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