トラブルシューターなんて、こんなモノさ。

皇 将

第1話 サイバーセキュリティ出動

「おおーい、松本。対応の依頼が入ったから、出動してくれー」

「へーい」


 俺の名前は松本まつもと光夫みつお。電子機器の修理などのトラブルに対応する、これでも一応大きい方な中小企業『タカハシ電子サービス』に勤めている。5年ほど前からVRの機械が民間にも出回り始めたのがキッカケで、ウチの会社もその手の対応を専門にする『サイバーセキュリティ課』が新設され、俺はそこに配属となっている訳だ。


「今日のお客さん、気難しい人の所だから、ちゃんと礼儀正しく対応しろよ」

 トラブルの電話が入る統括センターの同僚から、注意の言葉がかかる。

「わかってますよ。以前にネチネチと言われましたから」

 俺はそれに、さも言葉に棘でも生やしたような言葉で返す。この仕事では、いつものお話だ。


 俺はドリルやニッパーやラジオペンチなどなど、各種工具を差し込んだベルトを腰に巻き、統括センターから出発する。


 社用車に乗り込んでベルトは一旦外して助手席に置き、ナビを操作して目的の個人宅を目的地設定する。


「さーて、行きますか」

 そんなこんなで、仕事の開始である。今日もどうなる事やら。

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