第20話 大学3回生、6月

6月。


この時期、美雨ちゃんは部屋では水着でいる事が多い。


クーラーは性能悪くは無いのだけど、習慣と言うか。

眼福というか。


風邪引くといけないので、クーラーは弱めにしている。


ただまあ、今日はそんな日常の中の非日常と言うか。


何と言うか。


胸のパーツ、着るのを忘れている。


「おにーさん、どうしました?今日はやたらと視線が嫌らしいですよ」


美雨ちゃんが悪戯っぽく笑う。


「いや、本当に大きくなったなあと思って」


「・・・ストレートですね。おにーさん、変態ぶりに磨きがかかっています」


「重そうだから支えてやろうか?」


「駄目に決まってますよね」


美雨ちゃんが呆れた声音で言う。


お風呂とか一緒に入っているのだけど。

この非日常ぶりは、非常に来るものがある。


「だいたい、そこまで露出多い水着でも・・・」


確認、発覚。

フリーズ。

真っ赤になり。


「バカ、アホ、変態!どうして言ってくれないんですか!」


怒りながら、着てしまった。

残念。


「うう・・・酷いです・・・もうお嫁に行けません・・・」


恨みがましい目で見る美雨ちゃん。

可愛い・・・


「大丈夫。意中の人と上手くいかなかったら、俺がお嫁さんに貰うから」


「哲学的な事言われましたっ」


泣き出してしまった?!

そんなに嫌かあ・・・ショックだ。


「ごめん、美雨ちゃん。勿論、美雨ちゃんが好きな人と上手く行く事を応援・・・し・・・てるよ・・・」


してる、と言い切れない自分がいる。


「うう・・・やっぱりおにーさん、好きな女の子がいるんですよね・・・」


「・・・まあ、いるけどさ」


美雨ちゃんが落ち込んでしまった。

自分が進捗してないのに、負けそう、って感覚だろう。


「私、負けませんから」


美雨ちゃんは、俺を見て、宣言した。


ふと気づいたように胸をじっと見て、


ぷち


パーツをキャストオフする。


「そろそろサイズがきついです。おにーさん、付き合って下さい」


また今年も買いに行くのか。


「良いよ」


美雨ちゃんは俺の顔を見て、笑った。


「有難う御座います」


隠すのを忘れているけど。

今度はバレないように気をつけないと。

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