第14回電撃大賞
個人的おすすめ作品
1位 葉桜が来た夏
2位 藤堂家はカミガカリ
3位 ほうかご百物語
1位の「葉桜が来た夏」は宇宙人が日本の彦根周辺に住み始めて何年か経った世界の話。宇宙人のことが嫌いな主人公とその主人公に付きまとうように共に住み始めた宇宙人のヒロイン。二人はぶつかり合いながらも仲を深めていきます。そんな中、二人を中心にある事件が裏では進行しており……。
政治的な話をうまくライトノベルに落としてエンタメとしていたと思います。恋の話も入り混じってとても読みごたえがありました。ただの恋物語ではありません!
2位の「藤堂家はカミガカリ」は日本の神様や西洋の神様が出てきて戦うお話。中心にいるのは気弱な少年と車椅子の少女の双子。この藤堂家の双子をめぐって東西の神様が戦います。
テンポのいい語り口でスラスラと読むことができました。面白おかしく読みながらも最後には感動もできる。そんなストーリーはさすがと言うべきでしょう。
3位の「ほうかご百物語」は妖怪たちがたくさん出てくる学校の怪談のライトノベルバージョン。ヒロインはもちろん妖怪です。連作短編のような形式をとっており、一話に一匹以上の妖怪が登場します。みんなが知っているあの妖怪や知らない妖怪などに出会えることでしょう。妖怪大好きな人にオススメ。
その他の作品の感想
「君のための物語」: 語り部の主人公と悪魔の男が主軸となっているヒロインは誰なのかという小説。話としてはメディアワークス系でしょう。
「under 異界ノスタルジア」: 異界という死者の世界を知ってしまった主人公が異界を利用して悪事を働く組織と戦うお話。なかなか表現がグロテスクなところもあるので読む人は覚悟して読みましょう。
総評
今回は現代日本を舞台にした小説が多かったです。唯一「君のための物語」は産業革命期の西洋のような雰囲気でした。前回に引き続いて現代物が主流で受賞していました。この頃はあまり異世界ファンタジーはメジャーではなかったのでしょうか。
「ほうかご百物語」は完結済みで全十巻まで刊行されている人気作です。やはりこの頃の大賞は注目度が高かったのか、面白いものが多いようでした。
受賞作品が減ってきているのも注目したいところです。最近の七、八作品ほど受賞させる体力がこの頃の電撃にはなかったということでしょうか。もしくはそこまでの受賞作がなかっただけなのか。判断は各人に任せたいと思います。
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