第15回電撃大賞
個人的おすすめ作品
1位 ロウきゅーぶ!
2位 アクセル・ワールド
3位 隙間女(幅広)
1位の「ロウきゅーぶ!」は休部に追い込まれてしまったバスケ部の主人公が女子小学生のバスケチームの指導者として活躍するお話。小学生が小学生らしい可愛らしさで描かれているのがとてもよかったと思いました。バスケの描写もしっかりしていて、ただの萌えラノベではないなと思った一作です。アニメ化もされているようで、一時期話題になったと思います。これは話題になるほどの一作だったな、と確かに思いました。
2位の「アクセル・ワールド」は近未来SFの世界で、意識が加速することが出来る不思議な能力を奪い合うバトルラノベ。文章もバトルもストーリーもレベルが高い。さすがは大賞作品だと思いました。多くのラノベとは違い、主人公の背が小さく肥満体というのも特徴的。いろいろな意味で衝撃を与えた一作だったと思います。
3位の「隙間女(幅広)」は怪異を扱った少し心が温まる短編集。日常では起こりえないことを扱い、日常的な男女の関係をうまく描いた一作だったと思います。安心して読めたので楽しかったですね。題名となっている隙間女(幅広)以外にも三篇。さらに隙間女(幅広)の後日談のようなものも加えて全五編となっています。どれも面白かったですが、私は人面疽の話が特に好きでした。
その他の作品の感想
「パララバ -Parallel lovers-」: 青春ミステリー。一方の世界では彼氏が死に、一方の世界では彼女が死ぬ。そんなパラレルワールドの中で一つの携帯電話だけはその世界をつないでいた。違う世界で彼氏と彼女が奮闘する模様が面白かったです。
「東京ヴァンパイア・ファイナンス」: 夜の町に蔓延る悪徳業者を様々な人物が様々な視点から関わり合い、その人物たちをヴァンパイア・ファイナンスが助けて(?)いく。電撃文庫でしたけど、後年のメディアワークス文庫のような小説でした。
「神のまにまに!」: へっぽこと呼ばれる小さな神様とともに隠れてしまった日本中の神様を元に戻すという使命を帯びた主人公の物語。実はこのへっぽこという神様、実はある秘密が……。
総評
今回はロウきゅーぶ!やアクセルワールドといった有名どころが二つもある回でした。噂に違わず面白かったです。それ以外にも全体的に面白い作品が多い年だったと思います。
ちょっと特徴的だったのは、やはり「東京ヴァンパイア・ファイナンス」でしょうか。この小説の作風からすると明らかにメディアワークス文庫での出版が妥当のはずですが、当時はメディアワークス文庫が無かったためか、電撃文庫からの出版となっています。こういう大人向けの小説も受賞させてきたからこそ、メディアワークス文庫というものが生まれたんだな、と思った一作でした。
また、今回は現代を舞台にした作品が多かったとも思います。おそらく偶然なんでしょうが、そういう年もあるということですね。ファンタジーでも現代ドラマでも何でも面白ければ受賞させてくれるのが電撃文庫というわけです。
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