前田薫八の「勝手に受賞作読んでみた感想文」

第13回MF文庫Jライトノベル新人賞

個人的おすすめ作品ベスト３

１位　あまのじゃくな氷室さん 好感度100%から始める毒舌女子の落としかた

２位　クロス・コネクト あるいは垂水夕凪の入れ替わり完全ゲーム攻略

３位　ポンコツ勇者の下剋上

　１位の「あまのじゃくな氷室さん 好感度100%から始める毒舌女子の落としかた」はクールなヒロインの心の声（主人公への好感度100％）が主人公に聞こえてしまうというお話。事あるごとに主人公に対して冷たく当たるヒロインですが、その心の中は完全に主人公にデレデレ。そのギャップが面白かったです。完璧超人のように扱われているヒロインですが、その心の声を聞きながら読んでいると完全にポンコツヒロインに早変わりするから不思議。でもそこが面白かった。

　２位の「クロス・コネクト あるいは垂水夕凪の入れ替わり完全ゲーム攻略」はゲームの中に閉じ込められたヒロインと現実世界の主人公の意識が入れ替わってしまうというお話。ゲームが得意な主人公はヒロインの姿でゲームを攻略し、ヒロインは主人公の姿で現実世界を体験していきます。ゲームの世界と現実の世界がつながったとき、きっと読者は心地よい驚きに満たされることでしょう。

　３位の「ポンコツ勇者の下剋上」は頭空っぽにして読める系のお話ですね。聖剣の声が聞こえる、聖剣の精霊も見えるという主人公（勇者ではない）が勇者を探すというストーリーです。しかし、この主人公がなかなかのクズです。周りからの信頼もありません。そのおかげでいろいろと苦労するのですが、そこがまた面白い。聖剣の精霊も主人公に協力するのですが、この精霊もなかなかのポンコツ。特に難しいことを考えずに笑いたい人にオススメです。

その他の作品の感想

「僕の知らないラブコメ」：時間をスキップできる（戻すことはできない）という能力を持った主人公と不良と思われているヒロインとのラブストーリー。ラブコメというわりにはコメディ要素は少なめ？

「絶対彼女作らせるガール!」：冴えない主人公がとあることをきっかけにイケてる男子になっていくお話。周りの女の子たちが主人公をイメージチェンジ。実際に使えそうな知識が多くあるのでなかなか参考になりますね。

「せんせーのおよめさんになりたいおんなのこはみーんな16さいだよっ?」：教師にあこがれる主人公がいいなずけとして四人の女の子を紹介されるのですが、その四人の女の子の見た目は全員ロリ！　小学生にしか見えません。その四人の中から本当の16歳の女の子を探すお話です。これ買うのすごく恥ずかしかった……。

総評

　いつものMFらしくラブコメが強かった印象です。しかし、それでもVRMMOものや異世界ものなども受賞していることから完全にラブコメ専門というわけでもなさそうです。「僕の知らないラブコメ」に関してはラブコメとタイトルにありますが青春小説に近かったと思います。

　それでもやはり他のレーベルよりかはラブコメ的要素は強めかなと思いますね。ラブコメ以外のジャンルでも。そこは噂通りのMF文庫さんです。

　どの程度のラブコメ要素があればラブコメ以外のジャンルでも勝負ができるかはこれから調査してみたいと思います。

　異世界ファンタジーやバトルものでもラブコメ要素が強い作品ならMF文庫に出すのも一つの手だと思いましたね。