前田薫八の「勝手に受賞作読んでみた感想文」

第29回ファンタジア大賞

個人的おすすめ作品ベスト３

１位　追伸 ソラゴトに微笑んだ君へ

２位　通常攻撃が全体攻撃で二回攻撃のお母さんは好きですか?

３位　死霊術教師と異界召喚

　１位の「追伸 ソラゴトに微笑んだ君へ」はミステリー要素のある恋愛小説。昔の年賀状で祖母のもとに手紙を送ると、なぜかその手紙に書いた見栄ばかりの内容が現実に反映。望んでいないにも関わらず彼女までできてしまう。話は終盤に行くまで謎が謎を呼ぶ展開なのですが、その謎を考えるのが面白い。最後の展開も私は好きです。ネタバレになるので詳しいことが言えないのが残念。気になる人はぜひその目で確かめてください！

　２位の「通常攻撃が全体攻撃で二回攻撃のお母さんは好きですか?」は言わずと知れた（？）大賞作品。ゲームの世界に旅立つことになった主人公なのだが、何と母親が同伴することに！　しかも、その母親が主人公たちを差し置いて反則的な強さという。ギャグ要素満載で進むストーリーですが、最後はしっかりとシリアスに締めるところは締めています。さすが大賞といった作品でしょう。

　３位の「死霊術教師と異界召喚」は死霊術というマイナーな魔法を教える教師が名門学園に赴任してきたというお話。ヒロインはその死霊術を使う教師のことが気に入らない。でも気になってしまう。というツンデレ体質。最後はそんなマイナーのはずの死霊術が世界を……？

　ちょっと変わった魔法に興味がある人におススメです。

その他の作品の感想

「俺の青春を生け贄に、彼女の前髪をオープン」：極度な恥ずかしがり屋の幼馴染ヒロインを学園のアイドルにするお話。ヒロイン以外にももう一人幼馴染がいるのですが、ダブル幼馴染とはうらやましいぞ、チクショウ！

「魔術学園領域の拳王（バーサーカー） 黒焔姫秘約」：最強を夢見ていた主人公が実は自分は最弱だと悟り、ヒロインに弟子入りして本当の最強を目指すお話。バトル、バトル、バトルと、バトルが大好きな人にはおススメ。

「ぼくの日常が変態に侵蝕されてパンデミック!?」： プールで放尿するのが趣味という変態な幽霊ヒロインに憑かれてしまった主人公。彼女の無念（？）を晴らすために彼女を轢いたひき逃げ犯を探すことに。なお、このヒロインでも作中ではまだマシなほうの変態です。

「神獣（わたし）たちと一緒なら世界最強イケちゃいますよ?」： 女しかなれないという神獣使いになぜか男なのになってしまった主人公。女の子の神獣といちゃつきながら最強の座へ？　とにかく主人公がモテモテです。

総評

　第29回は「通常攻撃が全体攻撃で二回攻撃のお母さんは好きですか?」の名声が大きすぎて他の作品が隠れているような印象を受けますが、かなり面白い作品を多かったです。私が一位に推した「追伸 ソラゴトに微笑んだ君へ」などはこれが大賞でもよかったのではないかと思ったほど。すごくきれいな物語でした。

　傾向としてはMMO系に恋愛、ファンタジー、ラブコメとジャンルは幅広いです。ファンタジアには不得意ジャンルはないと思った方がいいのかも？

　印象としてはどの作品も起承転結がしっかりしているなと思いました。当たり前といえば当たり前ですが、そういうことをしっかり意識した作品が受賞しているのかも。