あのさ
白Ⅱ
第1話
君が家に来るのは、ずいぶん久しぶりだ。
こういう時は大体、何か言いづらいことがあるのだ。
なにを言いに来たんだろうと思うけど、こちらから聞くのも悪い気がして、君がしゃべるのを待った。
一時間経ち。
二時間経ち。
僕らは特に会話せずに、本を読んだり、絵を描いたりしていた。
君とのこういう時間は僕は嫌いじゃない。
心地いい無言。
互いにそれはわかっている。
でも、そろそろ話を聞かないと時間もない。
僕は腹を決めて、君に聞く。
「あのさ」
「あのね」と同時。
無言。
この無言はキツい。
「えと」と僕から話すべきだろうと思い口を開く。
「そろそろ出ない?」
「なんで?」こう言うのはタイミングが命だ。
「花火見に行こうよ」
その言葉を聞いた君は、驚いて、顔を赤くして、最後はムスっと不機嫌な顔になり。
「今、言おうと思ったのに」と言った。
あのさ 白Ⅱ @shironi
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