第100話 最終話、僕は君に伝える
名も知らない彼が告白に成功してから数日が経った。
「今日、俺も答えを出そう…」
あいつの告白を近くで見てきたからわかる、俺が誰も傷つけないようにとうだうだ先延ばしにしても結果として傷つけてしまう。
なら、学生というまだ出会いがたくさんあるうちに答えを出したほうがいいだろう、という結論になった。
この数日間俺は廉に相談して自分の本当の気持ちについて考えた。
そして、一番好きな、ずっと一緒にいたいと思える人が誰なのか問うことができた。
「みんな、急に集まってもらってごめん」
「全然気にしてないよ~」
「そうだよ、お兄ちゃん」
「そうだね、特に今日は洋画なかったから気にしないでいいよ」
「そういってもらえると助かる…」
俺は頭を下げることしかできなかった。
「それで、延々と引き延ばしてきた俺の気持ちを話そうと思って集まってもらった…」
「そっか…、今日で決まるんだね…」
「お兄ちゃん…」
「栄治君…」
「本当にみんな、良い人たちだと思うし感謝してもしきれない。誰も傷つけない方法を探していた…いや、探していると自分をだまして逃げていたんだ…」
みんな、目をつぶって聞いている
「だからと言って、これ以上引き延ばしても新たな出会いが来ない、だから今日踏み込むことにしたんだ…。でも、今までのように仲良く過ごしたい。自分勝手なことは重々承知の上だ、それでも友達として、関係をずっと築いていきたい。途切れさせたくないんだ…」
「栄治…」
「栄治君…」
「お兄ちゃん…」
「それでも、伝えるよ。俺は………………」
「………た。……なた。………あなた。」
「……っ、あぁ。おはよう…」
「よかった…、よかったよぉ………」
「此処は…?」
「此処は病室だよ…。生死のはざまをさまよってたんだって。全く…子供が引かれそうだったから無謀にも突っ込むなんて、あなたらしいけど死んじゃったらと思うと…、それとその子の親御さんがお見舞いに来たよ」
「そっか、心配かけてごめんな…。でも、懐かしい物を見たよ」
「どんなのみたの…?」
「俺が君を好きだといった日の事だよ…」
「そっか…」
「うん…」
「果物でも食べる?お見舞いとして持ってきてくれたよ?」
「ああ、食べたいから剥いてくれる?」
「わかったよ~」
俺は今、30になり高校の時に付き合った京とそのまま結婚した。
子宝にも恵まれ10歳の娘がいる。
「そうだ、春ちゃんと廉君と燐ちゃんが今から来るって」
「おお…、あいつらにも心配かけたな」
春と廉は22の時に再び再開したらしくそのまま3年の同居をしてゴールインした。
燐もいい人を見つけて2児のママになっている。
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『俺は京のことが好きだ…、京と一緒に過ごしてきて凄く安心することができた、多分出会うことはないと思う、だ、だから…俺と付き合ってください」
『はい…、お願いします…』
『おめでとう。京、負けちゃったけど京なら安心して任せられるよ…』
『京さん、お兄ちゃんを、お願いします…』
『うん…』
『さてと、燐ちゃん私たちは御暇しよっか…』
『そうですね…』
2人の頬を伝るしずくが見えた。
多分泣き顔を見られたくなかったのだろう…。
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「京…、俺は今幸せだよ。ありがとう」
「こちらこそ…」
~Fin~
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作者です。
みんなを傷つけたくないから引き延ばすこれこそが相手を一番傷つけてしまうと個人的に思っております。
なので、本文中に書かせていただきました。
まだ番外編を書いていきますが物語としてこれで終わりとなります。
ここまで読んでくださった皆さまありがとうございました。
新しいもの
『陽と陰と冷と暖と…』という恋愛?ラブコメ?ものを書き始めています。
そのほかにも異世界系などなど書いておりますので良ければご覧ください。
それでは、次のお話で会いましょう。
さようなら
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