第83話 風邪った…

「ごほっ、げほっ…」

スキー授業当日、俺は38.7度の高熱を出してしまった。

「本当に風邪をひくとは…」

嫌嫌と言いながらも行くのが俺なのだが今回に関してはガチでタイミングが悪かった。


「栄治君?行ってくるね。あったかくして寝てるんだよ?」

ドアの前から京が話しかけてくる。

だが、返事をする気力もなく俺は眠りについてしまった。



「京~、愛しの栄治君が休みでテンション下がってるよ?」

友達が言ってくるがそんなに表面に出ているだろうか…自分としては隠しているつもりなんだが。

「そうかな…?38度越えだからちょっと心配なんだよね」

「いい奥さんになりそうですなぁ~」

などとからかってきた。

いい奥さんに関係なく、好きな人が苦しんでいたら心配になるのは当たり前のことだと思うのだが違うのかな?


「京。すべろ~」

「今行く~」

栄治君のことも心配だがあまり周りに迷惑をかけられないので普段通りに振る舞うことにした。



「春~、栄治君休みなんだってね」

「そうらしいね、心配だな…」

38度を超えていると京から聞いたので心配だ。

「栄治君が来てれば手取り足取り腰取り教えて揚げれたのにね~」

「何を言ってんだ」

軽く頭をたたいて突っ込んだ。

流石にこしとりって…

教えてあげようと意気込んでいたが当の本人が休みなので滑ってくることにした。



「あっつい…」

体中が重く、頭が痛い…

「もう12時か…」

このままではまずいと思い、家にある薬を飲んだ。

「これで多少なりとも熱が引いてくれればいいんだが…」

熱を測ってみると39度にまで到達していた

流石に両親に電話しようかと迷ったが、迷惑をかけたくないのでおとなしく冷えピタとアイスノンをもって部屋に戻った。


「ん?通知が2件来てる」

京と春からで。熱のほうは大丈夫かというものだった。

2人には楽しんできて欲しいので、『心配しなくても大丈夫』と送った。


最近見たテレビで風邪の時にビタミンCを取るとよいっていうのは違うらしいね、何を食えばいいんだ?やっぱりお粥なのか?でも食欲ないし…

薬が効いてきたのか眠くなってきた。なんかこれだけ聞くと睡眠薬を飲んだみたいだね、ハイもう寝ます…


「…ん?ここはどこだ?」

目が覚めると知らない天井だった。

「あ、目が覚めたみたいですね」

ナースさんがいるってことは病院か…

左腕を見ると点滴をうたれていた。

「危なかったですよ。妹さんがもう少し遅かったら死んでました、妹さんに感謝してくださいね」

「はい、すみませんでした」

ガチでやばかったみたいだな…、

「お兄ちゃん、目が覚めたんだね」

「…燐、ありがとうな・・・」

思わず泣いて抱き着いてしまった。

「ちょ、お兄ちゃん流石に人前は恥ずかしいよ///」

「わ、悪い。ちょっと心細かったのが今来たみたいだ」

恥ずかしい…。

お医者さん曰く、もう10分したら帰っていいらしい、ので燐の手を握らせてもらい、もう少し眠ることにした。

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