第71話 栄治
「ち、ちょっと。何してるんですか!!」
いきなり栄治君に手を挙げた彼に怒鳴ってしまった。
「君が、京さん?でいいのかな。」
「そうですけど、それがどうしたんですか!」
「一旦落ち着いてくれ。初めての人には俺がいきなり襲ったように見えるかもしれないけど、訳があるんだ」
「はあ、それで訳とは?」
「えっ!?二重人格。やっぱりそうだったんですね…。」
「そうなんだ、だからこうやってやらないといつ戻るかわからないからね」
「意識を落とせば元に戻るんですか?」
最悪の場合に備えて一応聞いておきたい
「元に戻るって言ってるけど、栄治の元って、さっきの闘ってた方なんだよね」
「確かに初めて会った時と比べて丸くなったなとは、思ったけどまさか二重人格だったなんて…」
どっちかの、性格が消える可能性がある。
それが、優しい方なのか、元の方なのか…
どっちが残ったとしても私は変わらない。
「うっ…、いってえ」
「大丈夫?」
「ああ、気にすんな」
栄治の性格が変わってない…
「ちょっと飲みもん買ってくるわ」
栄治は、走って行ってしまった
「京さん栄治の友として、頼みます。アイツをしっかり見張っといてください。元の性格になってると何をしでかすかわからないんで。」
「勿論です。」
「ありがとうございます。何かあったらこれに連絡してください。でますので」
紙に携帯の電話番号を書いて渡した。
「ありがとうございます。」
「これぐらいしかできませんから…」
何処か、悲しい顔をしていた。
「すいません、自分はこれで」
ドンッ
「クソが、なんで元に戻ってないんだよ…」
廉に意識を刈り取られたところは、覚えている。だが、戻らなかった。日が経つごとに、今の俺が出てくる時間が長くなってきた。
野蛮な方は、求められず排除の対象となる。
排除される中で出てきたのがいつもの俺だ。
多分、燐も知らないと思う。一応今日みんなを呼んで話しておくか…
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます