第52話 その後

神道が春に話をしたらしく、春からチャットが飛んできていた。

『多分ストーカーのことはもう大丈夫だと思うから待ってなくていいよ』

まだ信用できてないので一応今日も送っていくとチャットを飛ばしてスマホをしまった。


「ストーカの件は解決したみたいですね」

と京が机に突っ伏していた俺の目線と合わせて話しかけてくる。

「そうみたいだ、京は親衛隊がなくなってたの知ってたのか?」

ふと疑問に思い聞いてみた

「えーっと、1週間前くらいに噂で聞いただけだね」

ホントに情報弱者だな…

交友関係がそれほど広くないのでそこが原因の一つだろう。

「今日からは送っていかなくていいんだね」

「そうなんだけど、一応送っていこうと思ってる」

「なるほど。私も一緒に行ってもいいかな?」

とくに断る理由もないので首を縦に振った。

そのあとすぐに京は友達に呼ばれ戻っていったので俺は再び机に突っ伏した。


「ふぁぁ・・・・」

今日の授業何をしたのか全く覚えていない。

「ずっと寝てたね。」

流石に京も苦笑いをしていた。

まあノート借りるの京からだし迷惑だよな。

「すまん…、次からは気を付けるわ」

眠い目をこすりながら話しているので信用性は皆無だろう。

寝起きだから目がしっかり開かなくてね…


俺は校門の前で春が出てくるのを京と待っていた。

「あ、来たみたいだよ」

京はいち早く春を見つけた。

やっぱ目いいんだな…

「よっ」

俺は片手をあげて挨拶をする

春は少し驚いた顔をしていた。

「なんでいるの?もう大丈夫って言ったはずだけど?」

なんだ。スマホのメッセージ見てないのか?

俺はスマホを見るように言った。

「なんにもないけど?」

え?俺送ったはずだけど

俺はスマホを確認してみると打ってはあったものの送信をし忘れていた。

「あー、送信しわすれたんだね…。栄治君よくあるもんね」

と京がしみじみと言ってくる。

なんで俺にそんな詳しいんだよ。と驚きつつ、春を家まで送った。


「ホントに大丈夫そうだな」

俺は周囲をグルーと確認した。

「あの子も反省していたみたいだし」

許してやれる辺り春の器は大きいな。

「あの子って?」

ああ、京は知らないのか。

京が他人に話さないことは知っているが、不用意に話すことでもないので、適当にごまかしておく。

「まあ、無理には聞きませんが女の子ってそういったことを気にするもんだってことを覚えておいてね」

だいぶ京も敬語癖が抜けてきたように思える。


「じゃあ、送ってくれてありがと」

「じゃ、また」

「さようなら、春さん」

無事に送り終えた。

隠し事ってのもよくないが、あいつのことも考えるとな…

そんなことがグルグルと頭の中を回っていた。


「どうかした?ずっと黙って」

「いや、なんでもないよ。ただ疲れたな~と思ってね」

そんなことを話していると京のスマホが鳴った。


「もしもし」

『もしもし、京?明日あんたのところに行くからよろしく言っておいて』

「ちょっと、お母さん?」

どうやら通話相手は京の母親だったらしい。さらに用件だけ言って切ったみたいだ。


「明日、こっちに来るからよろしく。だそうです…」

「了解、母さんに伝えておく」

俺は母さんにチャットを送った。

今度こそ送信ボタンをおした。

母さんからはみじかく、『わかった』とだけ送られてきた。


怒ってそうだな…

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