私立の小学校に通う小学六年生の小松小夜子は、高身長を理由に男子からいじめに遭い、それがきっかけで問題児が集められたゼロ組へと編入されてしまう。
しかし、ゼロ組に集められた生徒たちは独自の正義感を持つ生徒ばかりで、学校内の間違った風潮を正していく展開に胸が躍ります。
お金持ちが多い私立校なだけあってワガママな生徒が多く、教師もいじめっ子を処罰するどころか被害者を隔離してしまう隠蔽体質でまったく信頼できない。そこで困っている人のために毎回立ち上がるゼロ組の面々が実に頼もしい。
弁が立って行動力のあるリーダーのリーチ。手先が器用で運動神経もいい美少年のザクロ。記憶力抜群で気配り上手な秀才のたすく。
本来、大人しくて家庭的な小夜子も含め、本人に非はないにも関わらず、大人の都合で不良のレッテルを貼られてしまっただけで、みんな他人思いの良い子ばかりで好感が持てます。
集団から弾かれた変わり者であっても、それを恥じることなく自分たちが正しいと思ったことを貫く。大人でもなかなかできることじゃない。さらに問題解決のためにみせる子供とは思えない思考力や洞察力にひたすら感心するばかりです。
現実にもゼロ組のような受け皿があれば、集団に馴染めない今の子供たちも楽になるのにと思わずにいられません。
(「学校へ行こう」4選/文=愛咲優詩)