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『同性の友達』
それが男同士か女同士かは知らないが、確かにその言葉はしっくりと来た。
デザイナーとパタンナーの二人は性別の違いなんて関係なさそうだし、相手に恋人ができそうなら応援する。
大人になっても一緒に仕事をしている二人なのだから。
「おはようございます」
話題を出してすぐ、志水先生がプリントを持って教室にやってくる。
私達の会話など聞こえていないのか気にする事はなく、平然とした様子だ。
「今日は先生、午後まで用事があるんです。なので各自プリントをして下さい」
「はーい」
いつもの事務的な連絡。とても昨日ずっと探していた人に出会って、その人とデート約束したようには見えない。
「先生、加々美さんとはどうなったの?」
思い切りよくリーチ君は質問した。プライベートな質問だとは思うけど、二人を結びつけたのはリーチ君だ。聞く権利はあるかもしれない。
「……昨日は、電話で盛り上がってついつい夜更かしをしました」
「おぉっ!」
昨夜連絡して、それで夜更かしして盛り上がったなんて。思っていたより進展している。
言われて見れば志水先生の目元にはクマがあった。しかし動きや表情から疲れを感じさせない。
精神的には元気なのかいきいきしている。
「加々美さんは細プリーツが好きだそうです。けど私はボックスプリーツが好きなんです」
「……は?」
「スカートの話です。結局私がボックスプリーツの良さを語り、加々美さんも意識を変わりつつあるようでしたが」
リーチ君は困ったような目で私を見た。そんな目で見られても、私だって先生と加々美さんの関係はわからない。
でも女の子が好きでその女の子のためになるよう行動する二人の事だ。これは共通の趣味から親しくなっていく途中、なのかもしれない。
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