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しかし今まで私達を守ろうという使命感で前に出てきた加々美さんが、中学生を見て何かに気付いた。


「ちょっと待って、内海ちゃん。この子達……」


加々美さんがそういいかけてから、男子二人はわっと声をあげた。


「ごめんなさいぃっ」

「女の子とお話したかっただけなんですぅ……」


は?とこの場にいる女子三名は聞き返した。

その代わりに加々美さんは親身に泣いた中学生男子の背中を撫でる。中学生男子達はついに泣き出す。


「うんうん、そうだね、怖かったんだね」

「はいぃ。クラスの女の子って怖くてぇ、小学生の女の子なら怖くないと思ってぇぇ」

「うんうん、見た目大人だけど小学生な小夜子ちゃんで女の子と喋る練習をしたかったんだよね」

「女の子には奢らなきゃだめって雑誌に書いてあってぇぇ」

「うんうん、割り勘だと怒る女の子もいるし、ジュースぐらい奢らなきゃお話してくれないと思ったんだよね」

「そしたらその子の先生が来るしぃぃ」

「うんうん、綺麗な人だもんね。女の子とまともに話せないほどじゃ何も話せないよね」

「そしたらさらにイケメンが来て叱られるしぃぃ」

「うんうん。事が大きくなった事に気付いたんだね」


泣いてる男子のよくわからない言葉を、加々美さんがうまく引き出し訳していく。

つまり、男子中学生は女の子と喋ってみたかった。しかしクラスの女子は怖い。そこに見た目同い年ぐらいで中身年下な私が現れたのだから、練習相手にちょうどいいと思った。

そうして先生が来たり内海さんが来たりして事の重大さに気付き、逃げられず今泣き出したというわけだ。


「あのさぁ。君たち女の子が怖いって言うけど、君たちの態度だって女の子からしてみれば怖いものだよ。分かってる?」


内海さんが怒りを抑えて柔らかくなった声で注意をした。

確かに二人の態度は女の子が苦手なものとは思えない。こんな振る舞いじゃクラスの女の子も余計に警戒してきつく当たるだろう。


「内海ちゃん、そういう事は本人達もわかってるだろうから」

「……まぁ、こうして泣いてる位だから本当に悪気はなかったんだろうな」


今も男子達を慰める加々美さんは誰よりも中学生男子を理解していた。

その加々美さんが言うならと内海さんも許す。そしてにっこりと笑って志水先生に向き合った。


「ま、判断は先生に任せる事にします。私らは部外者だし、なぁ加々美?」


内海さんに名前を呼ばれるだけで加々美さんはびくりとした。

きっと志水先生の視線を背中から感じたのだろう。

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