18
「私もあと十歳いくつか若かったらなぁ。君みたいな男子に恋して可愛げ学べただろうに」
きっと内海さんはかっこいいから女子ばかりにモテただろう。そんな過去を思いだしつつしみじみといったセリフだけど、私とリーチ君ははっと気付いて顔を合わせる。
私達と十歳ぐらい違って、母校が同じ。
それは志水先生と同世代ということで、何かを知っているかもしれない。
「あのさ。二人の中学時代、すげー美少女とか居た?」
「美少女?女の子は皆可愛いと思うけど」
おせじとしか思えないような本心を言ったのは加々美さんだった。
けど私達が求めているのはそういう事じゃない。
「もっと、こう、男の股関を蹴り上げそうな美少女なんだけど」
「それは素敵な子だね」
なぜか加々美さんが瞳を輝かした。この人は素敵な女性の定義が広すぎる。
「つまり、小夜子ちゃん達は人探しでもしているの?」
「うん。十年前ぐらいにここに通ってた美少女を探してるんだ」
「美少女と言えばあれだね、志水さん」
内海さんがにやにやとその名前を出した時、加々美さんはあわあわと慌てた。
いや、それより志水さんって、
「それって志水せんせ、志水はるかさん?」
「うん。そんな名前だったと思う。それが君達の探し人なの?」
「違うけど、志水先生は俺らの担任だよ!」
志水はるか先生。それが先生のフルネームで、多分この名字は中学時代と変わってはいない。
やっぱり加々美さんは先生と同世代だったんだ。それだけわかったなら収穫だ。
残念ながら美少女で出て来たのは探している本人である志水先生だけだけど。
「志水さん、先生になったんだ。いいねー女教師。絶対似合うねー。加々美なんてヒールで踏んで欲しいだろうねー」
意地悪っぽくにやにやと内海さんが言った。『なに、加々美さんてそういう趣味なの?』とリーチ君が聞いてきたけど私にはどう答えればいいかわからない。
「志水さんはね、私らより二個下だったけど有名だったんだ。三年の時、一年にすごい美少女がいるってさ」
「へぇ、内海さんたち志水先生の二年先輩なんだ」
もしかしたら内海さんが例の美少女かもしれない、なんて可能性は消えた。
先生が例の美少女に会ったのは先生が中二の時。内海さんは先生より二年年上なら高校生だ。
内海さんは美少女というよりは美人だろうけど、股関を蹴り上げそうな人だし当時から男子生徒である加々美さんとつるんでいたようだから年齢以外は条件は満たしているのに。
「他に美少女いなかった?志水先生レベルの」
「志水さんぐらいの美少女なんてなかなかいないよ。男なら皆憧れてたぐらいだし、ねぇ?」
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