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「あのさ、好きな映画を選んでいいよ」
「え? 本当?」
あなたは観る映画の主導権をリコスに譲る。ここで彼女の目は輝き出し、上映中の映画のタイムスケジュールをじっくりと見つめ始めた。
「じゃあ、この映画。これでいい?」
リコスが指さしたのは当然のように恋愛映画だ。男に二言はないと、あなたはすぐにうなずいた。本当はあまり得意ではないジャンルではあるのだけれど……。
こうして2人分のチケットを購入し、あなた達は恋愛映画を上映しているスクリーンに入室する。入ってすぐに見渡すと約7割の席が埋まっていて、その様子からも結構な人気作品なのだと言う事がうかがわれた。2人は空いてる席に腰を下ろすと、上映開始を待った。
「おっ、始まったよ」
映画はイケメンと美少女が色々あってラブラブになるテンプレ作品だ。あなたは真顔でスクリーンを眺めていたものの、隣の席に座った彼女は作品に何か展開がある度に、笑ったり怒ったり照れたりと感情を丸裸にして楽しんでいる。
そんなリコスを横目でチラチラと確認して、あなたは満足していた。
「いやぁ~面白かったね!」
「ま、まあねー」
映画をちゃんと観ていないあなたは彼女の映画感想に適当に相槌を打つので精一杯。こうして映画鑑賞はリコスが満足する結果となって終わったのだった。
https://kakuyomu.jp/works/1177354054886424135/episodes/1177354054886572386
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