18

「早い! 早すぎる!」


 あなたは何となくノリで中二病的な台詞を口にする。勿論この言葉に根拠なんてまったくない。ここでリコスからのツッコミが入って成立するギャグのつもりでの軽い一言だった。

 あなたがノリノリでツッコミ待ちをしていると、当の彼女はとてもシリアスな顔をしている。この状況にあなたは違和感を感じて思わず黙り込んだ。


 厚い雲は上空を更に埋めていき、かなり暗くなっていく。この様子だとその内大雨でも降ってきそうな雰囲気だ。風は不穏な雰囲気を孕みながら、あなた達の周りにねっとりとまとわりついていく。

 それなりの修羅場を経たあなたにもこの状況に野生の勘が働いた。


「何かが近付いてくる……まさか……」

「そう、敵だよ」


 あなたの予感をリコスが補完する。理由はさっぱり分からないものの、どうやらあなた達に向かって敵がやってきたらしい。突然の戦闘モードに緊張感が高まっていく。


「逃げよう!」


 正体の分からないものといきなり戦うのはリスクが大きすぎると判断したあなたは、リコスの手を握るといきなり駆け出した。


https://kakuyomu.jp/works/1177354054886424135/episodes/1177354054886445795

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