魔女達は夜を踊る
文月やっすー
*: 12 − 2 =
その女の娘は手すりに体をあずけるようにして、吹き抜けに向かって手を伸ばしていた。でもその手の先には何もなかった。ただ、天井から注ぐ間接照明の光だけがあった。その淡く優しい光に向かって手をのばしていた。
そんな風にしか見えなかった。
他の人たちも同じだったのだろう、私を含め、その光景に声をあげる人はいなかった。
ただ一人、ルキを除いては。
「やめろ!」
ルキの声で私はやっと、この光景の先を想像できた。
まさか。そんな。
そう思ったすぐ後に女の娘の体は、手すりを超えて落ちていった。
吹き抜けを、上から下に、真っ直ぐに。
水風船がわれるような音と、何かが砕ける音が混ざり合って聞こえた。
ルキは下を確認して、それから首を振った。
誰かが死んだ。
これで2人目。
まるで現実味がない。
現実についていけないまま、呆然とすることしかできなかった。
でも、本当に奇怪なことはもっと別のことだった。
ルキは言った。
「11人だ」
そうして、苦しそうに目を細め片目を手で覆った。
急いでまわりにいた人数を数えた。
私を入れて11人。
もう一度数えた。
でも何度数えても同じだった。
最初は12人いた。
目の前で2人目が死んだ。
残ったのは、11人だった。
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