異世界から美少女が来た時の指南書

七海 夕梨

異世界から美少女が来た時の指南書

 目が覚めたら、ベッドに美少女がいました。

 ───なんて展開、童貞拗らせた男なら一度ぐらい夢見た事があるのではないだろうか?


 しかも異世界からきただったら?


 右も左もわからない彼女に、それはもう、手取り足取り、その他もろもろ、けしから──ゴホン、まぁ親切に教えてやりたいと、紳士たる諸君なら必ず思うはずだ。


 俺もかつては、そんな紳士の一人だった。


 しかし、諸君の為にも言っておこう。見た目に騙されてはいけない。異 世 界 からきた美少女がベッドにいたら、まずやる事は、


 【即退避】である。なぜなら


「ちょっ、あんた誰よ!」→火魔法


 と、上記のように出会いがしら、ラッキースケベなど夢見る瞬間もなく、命の危険性にさらされるからである。

 俺の場合、火魔法によって黒こげになり、死にかけた。彼女が回復魔法を掛けてくれなければ、今頃、天に召されていたと思う。


 そして、美少女が来た場合、【事前準備】も怠ってはいけない。


 俺は、うふん~な妄想しかしてこなかったため、大変な目にあってしまった。


 特に火魔法の被害や音が大きいと、ご近所さんへの説明は困難を極め、警察には美少女に変な服を着せて監禁した、変態疑惑までかけられてしまう。俺の場合は、彼女が精神操作魔法で、対処してくれたからよかったものの、周囲に変態と罵られ、無罪で刑務所にぶち込まれたら大変だ。ある意味、人生が終わってしまう。


 さて、上記までが【出会い編】であるが、これを乗り切れば、諸君の多くは、学校に少女がついてきて~とか、色々とピンクな楽しい妄想をしてしまう人が多いのではないだろか? だが、油断は禁物である。



「壁むこうの奴! 私に喧嘩うってんの?!」→テレビ破壊

「ちゃんとお金ならはらってるじゃない!」→異世界の通貨をだす。

「なにあんた、また、いじめられたの? 仕方ないわね」→俺を苛めた同級生を火魔法で血祭にあげようとする。


 という、異世界ならではの方法で色々やらかすため、ピンクな事など一切想像する暇はない。むしろ心休まる時間がなくなるのである。


 その為、異世界少女には【この世界の常識】をしっかり教えておくこと。でなければ、テレビ破壊や人命危機など、心臓ドッキドキな毎日が展開される羽目になってしまう。


 というわけで、異世界から少女がきたら、【自宅が破壊されても許せる心】【異世界視点で接する】というような、広い心と視野で対応していただきたい。


 そうすれば………



「ねぇ! なに書いてんのよ! さっさと新婚旅行にいくわよ。まずは転移魔法で、さくっと世界一周~!!」


 おっと、呼ばれたようだ。


 では諸君、君たちの検討を祈る。

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