レンタルチルドレン
べつ
プロローグ
「お母さん、ただいま」
黒いランドセルを背負った私の息子は夜の七時に我が家にやって来て、朝の七時に帰っていく。
「お母さん、行ってきます」
私はその小さな後ろ姿が見えなくなるまで見送る。
息子は名残惜しそうに振り返り、何度も大きく手を振る。
その子の満面の笑みにつられて私も笑顔で手を振り返した。
名前も知らない。十一歳の私の息子。
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