彼の家で、三人。
有原ハリアー
トオルの家で
「すみませーん。トオル君、いらっしゃいませんかー?」
僕の友達であるエミが、インターフォンに話しかける。
あっと、いけない。僕の名前はソウタ。
僕たちは、共通の親友であるトオルの家にお邪魔させてもらうことにした。
「はいはい……って何だ、お前らか」
ソウタが玄関のドアを開けた。
「入れよ。暑いだろうから」
「お邪魔しまーす」
「ありがとう、トオル」
僕たちは早速、家に上がらせてもらった。
トオルの部屋に入ってからというもの、僕たちは、思い思いに好きなことをしていた。
エミは音楽を聴きながら、何か物語を一心不乱に書いている。
トオルはあおむけになりながら、ポケット小説を読んでいる。
そして僕は、SNSを見ている。
ペンの音やページをめくる音だけが響く、トオルの部屋。この静かな感じは、いつもの僕たちだった。
けれど、僕はSNSで気になるものを見つけてしまった。
“文学はキミの友達。「カクヨム甲子園2018」”と。
「ねえ、二人とも」
僕は二人に声をかけ、注意を
「『カクヨム甲子園2018』っていうの、やってみない?」
そう。実は、僕は小説を書いていた。いや、“僕”っていうのは違うな。“僕たち三人”の間違いだった。
いつもはさっきのように、思い思いに過ごしている。
けれどときどき、僕たちは小説について、熱い言葉を交わし合うんだ。きっと、今回も――
「うん、やろう!」
「ああ、やってみようぜ!」
ほら。
やっぱり、こうなった。
「それじゃあ、何を書こうか?」
「えーっとね、私は……」
「うーんと、俺は……」
まだまだ僕たちの夏は、始まったばかりだ。
彼の家で、三人。 有原ハリアー @BlackKnight
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