第36話 『発展』その2

 彼女が触ると、ドアが、ずっと開いた。


「どうぞ。お入りください。」


 ぼくは、辺りを見回しながら、その部屋に行ったのだ。


 これまた、立派な部屋だ。


 僕の寮の部屋も立派なものだが、格が違う。


 僕のが、都心のちょっと良い独り暮らし用マンションだとしたら、ここは、若くして成功したセレブの超高級マンションの高層階にある自宅という雰囲気である。


「ここは、あたくしの自宅でもあります。どうぞおくつろぎください。あなたは、毎回、自費負担なしでのご利用が許されました。」


「え?なんで?」  


「それはもう、社長様に気に入られたからですわ。どうぞ、これが、『フリーパス』です。お仕事に支障がない範囲であれば、ご自由にご利用になれます。あたくしは、あなたの妻と同様の役割を果たします。必要があれば、母にもなれます。ただし、もし、あたくしが、お気に入らない場合は、ご遠慮なくフロントにお申し出くださいませ。他の星娘と、交代いたしますから。また、あたくし、予告なく、他の星娘と、交代となります場合がございますが、あなたは一切お気にする必要は、ありまん。」 


『交代してくれなんて、いいっこなしよ。』


 やかましい、僕の『保護者』が、頭のなかに口を挟んできた。


『先ほど、変わった音の断片を検知したの。まだ、確定は、出来ないけども、人間の幼児の泣き声に非常に近いものです。そのまま、楽しみなさい。ありがたいことと、感謝しなさいませ!』  


『はあ、おかしな話しだな。』


『政府高官がやってきた。しばらく、そちらを集中探査する。』


『どうぞ、お好きに。』


「あたくしは、ダイナと申します。」

 

 いつの間にか、薄い、ほとんど透き通ったような下着だけの姿で、彼女は、ぼくの隣に座った。


 大きな、クッション兼ベッドのような場所である。



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