『第十資源小惑星』第1部・第2部
やましん(テンパー)
【第1部】 第1話 『発端』
課長に呼び出されたのは、今月の初め。
あまり上昇意欲がなく、現状維持派のぼくにとっては、遠方での長期出張は歓迎してはいないことがらだ。
「こいつをあたってくれ。ちょっと長期になるかもしれないが。」
「はあ・・・『第十資源小惑星 ヘレナ』ですか。」
「そうだ。文字通り、十番目に許可された資源小惑星だ。所有者は、ミス・カンプ。謎の多い女性だ。巨大な富を築いていて、内部でなにやってるやらさっぱりわからないが、脱税や従業員の傷害や監禁などの疑いが濃い。違法なハーレムを作っているとも言われるが、しかし、容易なことではしっぽは出さない。帰還者は記憶の一部を消去されているらしいが、立証できない。内部調査が必要と見た。」
「もっと腕利きが良いんじゃないですか?」
「いやいや、君くらいが疑われなくてよい。まあ、がんばれ、はい、これ命令書と職務仕様閲覧許可証ね。外にはもって出ないように。」
「はあ・・・お給料は?」
「三割増し。ただし、君の『相方』への支払いね。」
「ほう。気前が良いですね。」
「重要任務だ。期待している。」
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『相方』というのは、ぼくの相棒のアンドロイドである。
ぼくは、表向き大体無職の身であって、アンドロイド君の保護のもとで暮らしている。
今回は、指示に従って、まずは地域のスローワークで、求人募集に応募した。
会計士の資格を持つが、ちょっとうつぎみなのである。
偽物の経歴が、公式につくられていた。
一方、求人主は、『特定宇宙開発個人会社『ヘレナ』の代表、ミス・カンプ』
仕事は、鉱山開発事務所の事務員。
就労場所は、第十資源小惑星『ヘレナ』。
就労期間は、半年で、更新の可能性あり。
お給料は、月額100万ドリム。・・・悪くない。
賞与あり。
住居費、食費は実費支給。
週休二日で、有給休暇は法定による。
保健福祉施設あり。
赴任旅費は、会社が負担。
まあまあ、というところである。
紹介状を手にしたぼくは、面接に赴いたのである。
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