二人の物語

@yasu13

第1話

朝焼けの道路。生暖かい風が頬を撫でる。

僕は自転車のペダルを一生懸命漕ぎながら腕につけた時計に目を落とす。

赤信号、いつもならなんでもない待ち時間が焦れったくて仕方ない。

急いで駐輪場に自転車を停めると、再度時間を見る。

大丈夫、いつも通りの時間に着いた。

少し早足で駅に向かう道を行くと、少し遠くに歩いている彼女の後ろ姿が見えた。

思わず足を止めて、深呼吸。

少し荒かった呼吸を落ち着かせると、彼女の横へと歩いていく。

「や、おはよう。今日も会ったね。」

彼女を驚かせないように優しく声をかける。

「あ、おはよう。いつもありがとう。」

声をかけると彼女はすぐに僕だと気付いてくれる。

顔を上げ、パッと明るい笑顔を向けてくれる。

僕はいつものように右腕を差し出す。

彼女もいつものように僕の腕に手をかけ、一緒に歩いていく。

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