第5話 同刻、バーガーショップにて




クラスでは、小説投稿サイトが、ひそかなブームである。





同じクラスの

『なれる』上位の鐘内君などは有名で

編集者から引き合いが来てるとかなんとか

そんなわけで、ヲタでありながら、彼はクラスカースト上位であった。


夜見は半笑いでその様子を遠巻きに見る。



(はん、脳みそストップした なれるテンプレとか・・・糞だな)



内心そのようなことを考えていた。

決して顔には出さないが・・・


夜見は『なれる』小説が嫌いだった。

たまに面白いのもある、だが、現代恋愛しか読まない。





$$$





今日も放課後、

夜見はバーガーショップに紗子を呼び出す。



「よし、誰もいないな」



「さぁ今日も一緒にどうすれば、どろぽん先生に小説を書いてもらえるか考えたいと思う」



「だから、さっさとヲタバレして、黒峰に続き書いて欲しいって頼んで来いよ」



「それは・・・私の積み上げた地位が・・・」

苦しそうな顔で下を向く夜見。




「じゃあ、黒峰の気が向くのを待てよ」




「・・・」

「・・・」



「もー・・・我慢できないんだよー・・・どろぽん神の小説読まないと・・・私の色々なスイッチが入らないしー・・・」

可愛く悶える夜見。



(今日も答えは出なそうだな)



紗子はため息をつく。




$$$




同刻、別のバーガーショップにて



黒峰各志は友人と話をしていた。


「正樹・・・月山さんってクラスにいるだろ」


「ああ、いるな」


「最近、彼女から・・・すごく視線を感じるんだ」



「・・・」



「断っておくが、モテない男子の勘違いじゃなくッ!!、本当に何度も視線が合うんだ、不思議なくらい」



「ああ、わかった、落ち着けよ」




「・・・」





「どうしてだと思う?」


「さぁな」


「・・・その・・・だな・・・もしかして俺に気があるとか・・・そういうことじゃなかろうか」



「・・・」



「じゃなければッ!!、他に理由なんてあるか?、俺なんてクラスじゃ冴えないモブで、クラスカースト上位の月山さんと釣り合うなんて思ってないけど!!」




「お前・・・自分の事、冷静に見れてるんだな」




んん・・・・

正樹は思い出す。




「そういえば、思い出した。最近、月山さんがお前の事を見てたな」



「おお、やっぱりか」

※勘違いでないか自信ない




んん・・・

あの表情・・・

あの射殺しそうな目・・・




「多分・・・気があるとかそういう目線ではない気がする」



「じゃあ、他にどういう理由があるってんだよ」



「・・・すまん、主観で物を言ってしまった」


「こっちこそ、悪い。熱くなっちまった」




「あれだ、直接聞いてみればいいじゃないか『俺の顔に何かついているか?』とか」



「・・・」

「・・・」



「クラスカースト上位の女子に話しかけるのは・・・ハードル高いな」



黒峰は度胸がなかった。





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る