うつくしいおひめさま
昔々、この世のものとは思えぬ程美しいにも関わらず、希死念慮を持つ姫様がおったそうな。
彼女は美しい物を好み、美しい家具と美しい花々と美しい風景画に囲まれた美しい部屋で一日の大半を過ごしていた。また楽団を招いて美しい音楽を聴き、古の文豪が残した美しい詩を読み、美味且つ美麗な食事を楽しむのであった。
しかし、「美」に彩られた楽しい生活が一瞬の「醜」によって乱れると、すぐ姫はこの世の醜さに絶望し、死のうとするのであった。
窓に肘をつき、ここから飛び降りてしまおうかと考える姫。
「こんな醜い世の中を生きるくらいなら、死んだ方がましね」
「そんな事を仰らないで下さい、姫様」
見知らぬ男が話しかけてきたが、おそらく城に来ていた貴族の嫡男といったところか。
「艶やかな髪、透き通った目、花弁のような唇に、雪のごとき白い肌。美しさを求め続ける美しい心。外を見ても中を見ても、貴女はとても美しい。貴女のような美しい人がどうして死ぬ必要がありましょう?悩みは人に吐き出して初めて楽になるもの。何故死にたがるのか、私にお教え下さいませんか」
「しょっちゅうアンタみたいな醜いブ男がこーやって私を口説きに来るから死にてぇんだよ!」
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