そして君と、君の消化器官を探す旅に出る

ユウ

序章 私の消化器官

『私の消化器官・・・!!!』



突然、彼女が悲鳴を上げた。

恥ずかしそうに、そして悲しそうに目を伏せる。

首のすぐ下から直接流れ出るカボチャスープ。

食べログで調べた「季節限定ゴロゴロカボチャスープ(女性無料)」は今、彼女が咀嚼し噛み砕かれた状態でそのまま椅子に流れ出た。

当然である。

彼女には首から下がない。

首から下が行方不明になってしまった人間なのだ。



「ごめんなさい・・・また・・・体と一緒に消化器官までいなくなっちゃったこと忘れて・・・私、恥ずかしい・・・っ!!」



大きな瞳からポロポロと涙が溢れ出る。



「大丈夫だよ。僕こそ気を使えなくてごめん。断面、汚れちゃったね」



腕がない彼女の代わりに掃除をしようと近づくと、カボチャの甘い香りが鼻をくすぐる。

唾液と混ざり、甘みを増したその香りは、彼女と僕の出会いの季節を思い出させた。

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