零細企業VS大企業。下っ端VS社長。信義と情熱を武器に牙を剥け。戦いの舞台は――不動産だ。

(現ド)18.上等だ、受けて立つぜ(作:Maro 様) ※完結お疲れ様でした※

『上等だ、受けて立つぜ』について感想書いてく


(作品URL)

https://kakuyomu.jp/works/1177354054885899221

(エピソードURL)

https://kakuyomu.jp/works/1177354054885899221/episodes/1177354054885899382



 第三章四より。

 戦略会議終了後の社長室での会話。


>「営業さんたちは相変わらずですか」渡部が訊いてきた。

「大淀という名前に胡座をかいている。何もしなくても客はやって来る。口には出さないが、お客は探すのではなく捌くものだと思っている者が大半だ」

「社長や我々開発部が這いずり回って土地を探し、苦労して建物を建てている。その上、巨額の広告宣伝費を払いブランド名を広めてる、だからお客が集るのや。そのこともわきまえず、営業の連中は自分たちの力だけで売れてると思うとる。そろそろガツンと一発かましたらどないですか」


 会社などの組織はチームプレイ。どこかの部署や個人が自分中心に動いていると、ひずみやおごりを生む――そうしたことを端的に言い表している部分だと思う。個人的にポイントだと思ったのが、これを口にしているのが単なる下っ端平社員ではなく、相応の実力と地位を兼ね備えた人物であるということ(主人公サイドではないけれど)。『上』の人間がどのように苦労しているかを描くことは、こうした社会派の作品には必要なんだと感じた。たとえそれが敵であっても。いや、敵だからこそか。

 主人公は別に存在するけれど、このように、何か大きなプロジェクトの元に様々な立場の人間が立ち回る作品を描く技量は、僕にはないので羨ましい。

 ここまで描き込んだ企業が舞台の小説は、カクヨムでは珍しいのではないか。

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