座談会:三つの世界のミューちゃん交ぜてみた


 謎時空に召喚された、異なるルートのミューちゃん×3。

 周囲を見渡し、自分と同じ顔を見て、口を開く。



三人「「「ドッペルゲンガー?」」」

本編ミューちゃん(以下本編)「いや、多分違うな。そっちはドッペルでも良いけど、アンタ微妙に違う気がする」

死神参謀ミューちゃん(以下死神参謀)「へ?何でさ。どう見てもワタシも同じだろ」

特異点ミューちゃん(以下特異点)「いや、何か違うオーラ出てる」

死神参謀「具体的に説明しろし」

本編&特異点「「武器持ってる段階で別次元だと思う!」」

死神参謀「は?武器持ってて何が悪いの?敵は殲滅するのが普通ダロ?」

本編「無理だよ!ワタシ戦闘能力無いもん!」

特異点「そうだそうだ!そんな美味しい能力無いやい!」

死神参謀「えぇええええ???」



本編「で、とりあえず状況を整理しようか。ワタシの名前は榎島未結えのしまみゆです。通称ミュー。ガエリア帝国の予言の参謀やってます」

死神参謀「右に同じくー。ついでに、戦闘チート貰ったので、名実共に覇王様の相棒として戦場走り回ってます」

本編「ナニソレずっこい!」

特異点「マジお前ずるすぎない?!」

死神参謀「むしろ何でお前ら補正貰ってないん……」

本編「ワタシが聞きたいわ!」

特異点「右に同じく!!!」

死神参謀「解った解った。とりあえず、話進まないから、そっちのワタシ、詳細説明よろ」

特異点「ぐぬぬ。戦闘チート貰ってるからって、一人飄々としやがってぇえええ……」

本編「まったくだ。……でもまぁ、アンタの詳細もよろしく。ワタシと何が違うの?」

特異点「あ、ワタシ、世界の理をぶっ壊せる特異点という存在らしいです」

本編&死神参謀「「どう考えてもお前が1番チートじゃねぇかああああああ!」」



特異点「別にチートじゃないもん。ワタシ何もしてないしー」

本編「いや、どう考えてもチートやん?何その特異点とか厨二病満載の設定ずるくない?」

死神参謀「そうだそうだ。何だよ、理を壊せる存在とか、恰好良すぎじゃん」

本編&特異点「「戦闘チートで厨二病満喫してるお前が言うな」」

死神参謀「別に厨二病は満喫してねーやい。剣と魔法で敵をぶっ倒してるだけで!」

本編「それが出来る段階で、ゲーオタの夢叶えてんじゃねぇか!」

特異点「戦闘チートとかマジ羨ましいわー。ワタシこの間死にかけたんだぞー」

本編「え、お前も?ワタシも死にかけたんだよね。腹刺されて」

特異点「違う。ワタシそれ通過して、超レア魔導具コレ貰った後に、更に死にかけたの」

死神参謀「え?お前不憫すぎない?」

本編「……嘘やん。お前、ワタシより更にやばい目にあってんの?」

特異点「……哀れみの目で見んなし……(泣)」



死神参謀「っていうか、その魔導具何?レアアイテムの気配すんだけど」

本編&特異点「「え……?」」

死神参謀「え?って何ですか、お二人さん?」

本編「いやいやいや、え?アンタ持ってないの?!渡されなかったの?!」

死神参謀「っていうか、それ、どういう状況で渡されたわけ?」

本編「クズの大司教一派に無理矢理刺客にされた神父の兄さんに、腹刺されて死線彷徨った後に」

特異点「オトンとオカンが防御系だけじゃ足りないとか言い出して発注して」

本編「アルノーが材料調達して、ヴェルナーがリザレクション封じ込めて、ラウラが完成させた」

特異点「自動発動オートモードでリザレクションが発動する回復系魔導具」

本編「なお、レア度で言うと国宝級」

死神参謀「何その超絶怖い物体!何でそんなもん持たされてんの?!持ちたくない!」

本編&特異点「「むしろ何で持ってないんだ」」

死神参謀「……え?だってワタシ、刺される前にナイフ奪ったから、未遂だし」

本編&特異点「「こんの戦闘チート持ちがぁああああああ!!!」」

死神参謀「イタっ!ちょっ、自分相手だからってもうちょい遠慮しようよ!殴るなし!」

本編&特異点「「煩い!」」



本編「ってことは、そっちの戦闘チート持ちのワタシ……、名前長いな。何か呼ばれてる特徴とかねぇの?」

死神参謀「通称死神だったりする」

特異点「……うわぁ」

本編「じゃあ、死神ちゃんな。死神ちゃん、ワタシらと経験してるイベントが違うんじゃない?」

死神参謀「あー、その可能性はあるかも」

本編「逆に、そっちの特異点ちゃんは、ワタシとほぼほぼ同じなんじゃないかなって思う」

特異点「確かにー。特異点絡み以外は、同じような感じかもねー」

本編「っていうか、ワタシ以上に大変な目にあってるんだねぇ。大丈夫なん?」

特異点「まぁ、基本的にライナーさんとユーリちゃんいるし。危なくなったらアディいるし」

本編「そっか。あの最終兵器ラスボス様いると、安心感パネェもんな!」

特異点「そうそう!流石相棒って感じー?アディいたら絶対大丈夫って感じするよね!」

本編「するする。非力なワタシにとっての生命線だよ!」

特異点「解る解る!」

死神参謀「……アレ?何だろうこの疎外感……」



死神参謀「何かワタシだけのけ者にされてる感じがするから、違う話題!違う話題が良い!」

本編「そんなこと言われても、一人シナリオが違うお前が悪い」

特異点「そうだそうだ。危険な目にあってるワタシ達に比べて、戦闘チートでヒャッハーしてるお前が悪い」

死神参謀「さっきから思ってるけど、お前ら自分相手だから容赦なさ過ぎない?!」

本編「今更」

特異点「うっさい」

死神参謀「ひでぇ!!」



本編「というか、何でお前戦闘チート持ってんだよっていう恨みしか出てこないんだ」

特異点「右に同じく」

死神参謀「それをワタシに言われても困るよね?」

本編「だって、戦闘チートそれがあるってことは、ワタシ達よりもイージーモードじゃんか」

死神参謀「いや、別にイージーじゃないけど。それなりに頑張ってるんだけど」

特異点「死にかけないだけ十分イージーだと思います、せんせー」

本編「せんせーもそう思います」

死神参謀「いや、何で先生と生徒やねん」



本編「っていうか、戦闘チートあるってだけで勝ち組に見えるし、実際安全は安全でしょ?」

死神参謀「その分最前線に普通に首突っ込んでるけどな」

特異点「後方で大人しくしてるのに危ない目に遭うワタシよりマシだと思います」

本編「そーだそーだ。安全圏にいるはずが危ない目に遭うワタシたちよりマシー」

死神参謀「だから、そこで二人で手を組んでワタシを苛めるの止めろし」

本編&特異点「「ヤダ」」

死神参謀「こ・の・野・郎」

本編「だってさー、アディと一緒に戦えるとか羨ましすぎて殺意湧くし」

特異点「ほんそれ。こちとら大人しくお留守番で別行動なんだぞ。ズルイ」

死神参謀「流石別次元とはいえワタシだな。お前ら覇王様好きすぎんだろ」

本編&特異点「「お前もな」」

死神参謀「まぁ、同一人物だから仕方ないけどな」



本編「そういや、そっちは脳内お花畑ってどうなん?」

死神参謀「思い出させんなし」

特異点「右に同じく」

本編「そうか……。そっちでも同じか。救いはユーリちゃんだけなわけだ……」

特異点「それなー。もうユーリちゃん可愛すぎてやっばい。良い子。他の侍女や女官いらねぇ」

死神参謀「わかるわー。あの子以外だと、年配の人しか会話通じないし。何で米俵みたいに運ばれてんのに、キャッキャウフフできんの?」

本編&特異点「「それな」」

本編「まぁ、脳内お花畑もあれだけどさー、美しき刺客ご令嬢達も厄介だよねー。何あの誤解が無限加速していく感じ。濡れ衣ぱねぇ」

特異点「わかる。超わかる。何であんな敵視されるのかわからん……!」

死神参謀「美しき刺客ご令嬢達……?あぁ、新年会のときに何かめっちゃ見てきてた美女軍団とか?でもあの辺も、話せばわかる感じじゃね?」

本編&特異点「「あぁ゛?」」

死神参謀「……え?」



本編「お前何言ってんの?話せばわかる?どこが?何言っても理解しないし、勝手に敵視されてんだぞ?」

特異点「そうだそうだ。二人でほけほけ日常過ごしてるだけで、すっげー勢いでライバル認定とかされるんだぞ!」

死神参謀「いや、だから、その辺も話し合ったらちゃんと通じ」

本編&特異点「「通じるかぁあああああ!」」

死神参謀「……え、嘘だろ。マジかよ。ワタシ、最近はどっちかっつーとファンみたいなノリで懐かれてんぞ……?」

本編「特異点ちゃんや、こやつ抹殺してもよろしいのではございませぬか?」

特異点「本編ちゃんや、我に依存はございませぬぞ」

死神参謀「お前ら自分相手だからって物騒な発想になるの本当にやめない!?」

本編&特異点「「お前みたいなのはワタシと同じじゃねぇええええ!」」



本編「まぁ、死神ちゃんは色々違うとはいえ、ベースは同じだなとは思った」

特異点「それな」

死神参謀「まぁ、同一人物だし、周囲も同じメンバーだし?」

本編「しっかし、そういう平行世界もあるんだなぁ」

特異点「ってことは、お約束展開で恋愛フラグ的な何かがある世界も存在するのかな?」

死神参謀「え、それ別にいらなくね?」

本編「みーとぅー。いらんだろ、それ」

特異点「いや、ワタシも別にいらないんだけどさ。ただ、客観的に見てみようよ」

本編&死神参謀「「……?」」

特異点「周りの男性陣の顔面偏差値、めっちゃ高い!」

本編&死神参謀「「……あ」」



死神参謀「確かに。アディは言わずもがなだけど、近衛兵ズもイケメンだったわ」

本編「つーか、ユリウスさんだろ。麗しの美貌のイケオジエルフ」

特異点「口開かなければヴェルナーも文句なしの美形」

本編「あいつは猫被ってるからなぁ……」

死神参謀「アルノーも、ワイルドなおっさんが好きならおkじゃね?顔は悪くないし」

特異点「癒やし担当が欲しかったらシュテファンいるしねー」

本編「わかるー」

死神参謀「それなー」



本編「……なるほど。言われてみると確かに、どこの乙女ゲームやねんと言いたくなるほどによりどりみどりだな」

死神参謀「外国でも良いなら、オクタビオのおっさんとセバスティアンさんも加えよう」

特異点「いや、そこは加えるなら断然フェルディナンドさんだろ」

本編「た、確かに……!性別未固定の超絶美形騎士……!イケる……!」

死神参謀「個人的には色々思うところあるんだけど、ポジション的にはテオドールも美味しいな」

特異点「アレはいらない」

本編「設定だけなら美味しいけど、あいつはいらん」

死神参謀「お前らのその素直なところ、流石自分って感じでめっちゃ安心するわ」



本編「そうなると、いわゆるサポートキャラはユーリちゃんかな?」

死神参謀「指導係ポジションはツェリさんかな?」

特異点「うわー、指導係くそ怖い」

本編「困ったときに金と引き替えに何とかしてくれる情報屋とか何でも屋ポジションは絶対ラウラだ」

死神参謀&特異点「「わかる」」

本編「え、どうしよう。そういうゲーム面白そうだからプレイしたい。自分がそういうところに組み込まれたくは無いけど」

死神参謀&特異点「「それな」」



死神参謀「ゲームとして考えたらすっげー美味しいよ。でも、自分の周囲でそういうのはいらない」

特異点「むしろ、今ですら持て余してて面倒なのに、そこに正真正銘の恋愛フラグとか入ってきたら死ぬ」

本編「脳内お花畑がはっちゃける未来しか見えない」

死神参謀「……仮にそういう平行世界があったとしても、お近づきにはなりたくないなぁ……」

本編「だよなー」

特異点「いやいや、ワタシだよ?このワタシに、そんなフラグ立つわけないじゃん?あるとしたら、利害の一致の偽装婚約とかぐらいでしょ」

本編「確かに」

死神参謀「あー、その可能性はあるなー。周りうっさいもん」

特異点「迷惑な話だよねー」

本編「ねー」



本編「お、何か身体が光ってる」

死神参謀「アレじゃね?帰還の合図」

特異点「これで戻った先が別の平行世界だったら笑う」

本編「やめろし」

死神参謀「フラグ立てるな」

特異点「てへぺろ☆」

本編「んじゃ、そっちも元気でなー」

死神参謀「おー。死にかけるなよー」

特異点「お互い頑張ろうなー!」



 謎時空から消えていく三人。

 を、見送っていたもう一つの影。



偽装結婚ミューちゃん「……出そびれた。いやでも、ワタシ出て行っても混乱させるだけだよな……?偽装結婚してなんやかんやで初夜終わってるとか言ったら、あいつら卒倒しそうだし……。あ、ワタシも光ってる。帰ろーっと」




 オチのないままに終わる!

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