平凡な私が異世界で生きて行くにはチート主人公に媚びるしかない
ゆーゆーゆー
第1話 プロローグ
薄暗い洞窟の中
少年少女達の熱を帯びた声は響く
「ステータスオープン」
ガタイのいい丸坊主の少年の掛け声とともに、何もない空間に突如複数の文字が映し出される。
「哲やるな!」
「なかなかね!」
「ぴったりじゃん!」
様々な種類の絶賛の声がが1人の少年に向けられる。
「そうでも無いって」
口ではそう言いながらも、少年の口角は上がっている。
まったく良くそんな騒げるなあ。
こんな状況だってのに。
え?
どんな状況だって?
えーと
洞窟の中で2日くらい経過して、
みんなでステータス見せ合ってるとこ?
分からない?
仕方ないなー
少し時間を戻すよ!
7月1日 正午
「撮影まで暇だし、暇つぶし用のラノベでも買い漁ろうかなあ〜」
うふふ
アニメイト4F
帽子とマスクをつけ怪しげな笑いを漏らす少女が、周囲の視線を集めていることに、
少女自身は気づいていない。
「あーこれも面白そうだなあ
いやあ、悩む!
うーん
うーん
よし!決めた!」
少女は散々悩んだ挙句、全てをカゴに入れレジへと向かう。
いや〜、こんな所学校の誰かに見られたら
死ぬね!確実に。
手に持っているラノベもだけど
今日レイヤーの集まりで現在メイド服だし、
髪の毛銀髪に染めちゃってるし、
もうやばいよね!
お!もう私の番か
「アニ○イトカードはお持ちですか?」
そりゃ持ってるよ !
えーと確か財布の中に …
あっあった
「はい」
店員にカードを渡そうとすると
困ったような表情をした。
あれ?
「お客様このカードのご利用期限が切れておりますので新しいカードをお渡ししておきますね。」
確か2年だっけ?
もうそんな経ってたか
「ありがとうございます。」
新しいカードを受け取る。
新しいカード黒色か
ん?何も書いてないぞ?
「あの、これ〜」
よそよそしく店員に確認しようとすると、
「裏面をご確認して下さい。」
カードをひっくり返す
裏面には見たこともない言語がびっしりと詰まっていた。
何これ?
目を近づけ読もうとすると、
字が脳に入ってくるような不思議か感覚。
うっ、気持ち悪…
だめだ…頭がフラフラして来た、
立っていられない…
どこかに捕まらない……と……。
気を失って目を開けたらこの洞窟。
辺りには学校のクラスメイド。
ちなみに私の今の格好を見てみんなに大爆笑されたが、罰ゲームだって言い切った。
誰も信じていなさそうだけど…
まあ銀髪メイド服だしね……
急な出来事でまんな混乱しているが、
とりあえず話し合おうってことになった。
そして今分かる情報がこちら!
・上石高校の3年3組の約半分が集まっている
・元いた場所の一貫性はないが日時は同じ
・気を失う直前怪しいカードを受け取った
・山田君(超オープンなアニオタ)曰くこの状況はクラス転移なのではないか。
・山田君達のオタク派閥が知識を総動員して
色々試した結果、ステータスオープンと呟くことでステータスが確認できた。
・山田君曰く、lvなどがある事からよくあるゲーム世界に転生した可能性があるが、知っているゲームの世界では無いらしい。
・ステータス画面の表示により魔法が使える可能性を確認。
みんな本気で信じている様子は無いが、
状況が状況だけに夢の中だとでも思っているのかも。
それにしても、おい!山田
有能すぎないか?
まあ私だってラノベ読むし!
何となくそんな気がしたけどね!
本当だよ?
それにしてもクラスメイトの順応性に驚いた。山田君達に至ってはテンション上がっちゃって、俺の時代きたとか叫んでるし。
まあ、私も少しは期待しちゃってるよ?
だって魔法だよ?
仕方ないでしょ!
全員がステータスを順番に確認していて、
現在は俊君がステータスを開いている。
俊君はクラスの中心人物だ。
透明感のある金髪に整った顔立ち。
私も良くハーフっぽいと言われるが、
私は生粋の日本人なのに対し、
俊君はアメリカと日本のれっきとしたハーフだ。
ウィリアム シュン マーティン
lv1
HP 1000
MP 700
AKT 1000
DEF 300
MAD 500
MDE 300
AGI 1400
魔法適正:全属性
スキル:英雄、???、???
「うぉおおお!」
「ちょっとなにこれ?俊やばいよ」
「暫定一位じゃね?」
「まあやっぱり俊だよな!」
「当然よ!」
「英雄だってよ!」
俊のステータスに場が騒めく。
初めて4桁と言う数字が出た。
「ありがとう、でもあんまり持ち上げんないで」
当の本人の顔は笑ってはいるが、迷惑そうだ。
「次誰行くよ?」
「楓まだじゃない?」
「メイドちゃんまだだったな」
ちっ
もう一生このネタでからかわれそうだな
とりあえず今メイドって言った奴は睨んでおこう。
それにしてもついに私の番が来てしまった。
えーと
「ステータスオープン! 」
どれどれ?
文字を上から眺めていく。
ヒイラギ カエデ
lv1
HP 200
MP 500
AKT 200
DEF 150
MAD 500
MDE 200
AGI 200
魔法適正:氷
スキル :⁇?
あっはい…
「まあ、普通…だね?」
「普通!普通!俊がやばすぎるだけだって!」
「まあ、良いことあるよ!」
1人の少年に親指を立てられ、肩をポンっとたたかれた。
なんで?私慰められてるの?
クラスメイトのステータスを見る限り、スポーツ出来る人やクラスの中心人物だった人は、軒並みステータスが高いきがする。
その他にも山田君だったり少し変わった人種もステータスが高かった。
私は平均より少し下くらいだと思う。
私が読んだラノベだと、地味な子とかがチートだったりするよね…
例えば…
「後は…アイツだけだな」
「上田!早く見せろ」
最後の1人上田和人
伸びきった髪の毛が目を目まで届いていて不気味な印象をうける。
3年生に上がって早々、いじめにより不登校になったため私も余り関わったことがない。
「早く見せろって!」
「クラスの輪を乱すなって!」
「くそ!これだから陰キャは」
先程から罵声が飛び交ってはいるが、
上田君は一向に動こうとはしない。
「…輪を乱すな?この状況で?」
上田が初めて口を開き呟く。
「そうだよ!だからさっさと見せろって」
イライラした様子のクラスメイト達は今にも胸倉をつかみそうな勢いだ。
上田がはぁ〜と溜息をすると
気怠そうに立ち上がった。
「俺はお前らみたいなバカとは一緒にいられない。先に行かせて貰う」
小さい声で1人呟くと歩き出していった。
「あいつ、ごにょごにょ言ってて何も聞こえねーよな!」
「ほんと!空気最悪」
上田君が立ち去ると悪口の嵐だ。
「まあ良いじゃないか、彼は仕方ないよ。
残った人達で何とかしよう!」
俊君が宥めるように声をかける。
「まあ、俊が言うなら…」
「あいつはムカつくけど、確かにこのままじゃね!」
乱れたクラスメイトを瞬時に落ち着かせた。
流石、俊君だなあ
それにしても、私の第六感が信号を鳴らしている。上田を逃してはいけなかったと。
絶対上田君何か知ってるよ!
確実に主要人物だよ!
この物語に主人公がいるならきっと上田君だ。
私は確信を持って言える。
何故かって?
……
だって、上田君私が読んだラノベの主人公そっくりなんだもん……。
何とかして上田君と和解するか?
それとも最悪私だけでも後を追って媚びるか…
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます