第24話 シャドーさん

 女性のようなフォルムのロボットが三機見える。大きさはどれも十三メートルのクラスで、標準以下だ。目立つ色をしたボスらしいロボットが言う、


「私はロードクイーン。道の情報を集める者だ」


 ジュウは、もうビームを放っていた。

「ロードクイーンの能力なら、全て見えているはずだ」

 ジュウは苛ついていた。ロードクイーンとは道を束ねる者と聞いたことがある。


 僕もロードクイーンを狙い撃つ。しかし、当たらない。サツイより相手の方が動きが速い。僕は、三機のロボットに狙い撃たれる。ジュウは後方へと回る。ジュウのビームは束となるが、やはり命中はしない。このままでは、サツイほどのロボットでも大破するだろう。僕は、ロボットサツイに問う、

「クイーンとやらを倒す方法は無いのか?」


「一つ思い当たる。急接近という技だ」


 それが、僕に出来るだろうか? 一撃必殺の大技を僕は繰り出した。凄い体力を持って行かれてしまう。命中した! 結果はどうだ?


 道のクイーンは言う、

「私は、カメットソードという妖刀を探している。成長の力を持つ剣だ。太陽さえ切り裂くという」


 ロードクイーンにダメージはほとんどない。思い当たった技は、砕け散った。ホムラも戦っているが、何故か解らないらしい。ホムラは言う、

「話についていけない。私は孤独な空の道だ」


 カメットソードは最強の剣だった。だが、カメットソードは破れ、捨てられた。ジュウは後方からつぶやく、

「ロードクイーンの情報量なら、落ちている場所ぐらい簡単に解りそうだがな」


 ロードクイーンは、つぶやきに答える、

「ジュウは、情報量と言ったな。どんな存在にも『限界量』はあるから、人々は落とし物をするのだ。カメットソードは抱え切れなかったから、『シャドーさん』は放り投げたのさ」


 ジュウは僕カガミを盾にして、ビーム攻撃を続けている。僕は何故戦っているんだっけ?


 優しさ、すなわちきっかけをもう一度数えるからだ。人々と繋がっていたいからだ。……これは、唯の言い訳。『シャドーさん』とは、誰だ? 聞いたことがない。


 ロボットのサツイが説明を始める、

「シャドーさんってのは、かつて太陽を影に落とした冒険者だ。またの名を『カメタ』という」


「何のためにだ、サツイ?」


「持ちきれなかったから、太陽の影になったのさ」


 えーと、こいつらは何の話をしている? つまりは、カメットソードは妖刀と化し成長する。カメットソードは放っておくとサビつくから、持ち主を求めているということだ。膨大な容量の中で、すなわち何本もの刀を整備する中で、錆び付かないために。シャドーさんの持ち物になるためってか。


 ロードクイーンの容赦のない攻撃に、僕は考えがまとまらない。ヤツには切り札も通用しなかった。僕は逃げ道を探すが、見つからない。僕では勝てない。


 落とし物かあ。僕は道のデータを確認する。これらは全て、持ちきれないから落とし物になった? それだけではない気がする。


 シャドーさんとやらは、タイヨウを守ったんだ。そもそも、タイヨウとは何だっけ。クワン族が掲げた『めぐみの光』のことだ。シャドーさんは、クワン族をかばったのか? そのためオーバーリミットしたか。


 カメットソードは落ちていく。シャドーさんを切り裂き、めぐみの光を手に入れるためだ。そして、カメットソードは再び輝く。ならば、見つかる!


 ジュウはキョウジンを操り、ロードクイーンへと突撃していく。無謀だ! 僕のスピードを軽く上回っていた敵だぞ。


 ジュウは言う、

「俺はたたかれた強じんな道。速さなど必要ない。ただいつの日か、またミラーに映ってやるよ」


 ミラーに映る? ジュウは意味不明な表現を残し、突撃する。ロードクイーンとロードナイトの攻撃が、ジュウには通用しない。ジュウは、ここまでタフだったのか。僕は、敵を知ることは重要だと思った。


「検索して、まだ見つからないのかい?」

 何処からか声が聞こえた。しかし、今はそれどころではない。ロードクイーンとジュウの激突。ジュウのビームはヒットしないが、気にも止めやしない。


 ジュウの攻撃は何時か当たる。ロードクイーンが完璧でない限りな。


「空の道は静かだ……」

 ホムラという少女は、一人いじけていた。


 人々は見下ろしている。そして、そのまま進む。それが『落とし物』となり、『人』はそれを見つける。それを『知識』と呼ぶのだろう。


 ホムラは寂しそうに言う、

「ミラーには、『心の草』を映す『能力』があるという。何故なら、自分自身を映せるからだ」

 自分ではなく、他人の間違いだろう? ミラーは、ミラーを映せない。


 ジュウは、カメットソードに貫かれた。ロードクイーンもだ。


「キサマか、『ハナビ』!」

「ああ。推測によると、ロードクイーンは利用する価値があると占っていた」

 面倒そうな口調の青年は、見覚えのあるロボットに乗っていた。


 ジュウもホムラも確認する、

「原初のロボット『平和の意思』だな」


 ハナビと呼ばれたパイロットは、続ける、

「『肉体』など選ぶなよ。『心』など選ぶな。必要なのは、自分という存在だけだ」

 青年ハナビは、そう推測した。


 平和の意思とカメットソードは融合する。肉体と心をもって、ハナビとジュウが戦う。

「シャドーさんの落とし物は、他にもあるだろう」

 と、ハナビは呟いていた。地獄の門『扉を貫く絵』を、僕達道は通ったんだ!




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