第9話

ふたりがぶつかったのは、大きな木でした。みーちゃんの両手を広げたよりも、もっともっと太い木です。

木の根元には、黒々と大きな穴が開いています。穴はみーちゃんがかがめば中に入れそうな大きさです。


「あら、こんなところまで来ちゃった」


野ねずみは言うと、ふいと穴の中に入っていきました。

みーちゃんが立ち止まっていると、ひょいと顔だけ出して、はやくおいでと言います。

そこで、みーちゃんも思い切って穴の中に入りました。

穴の中は、ゆるい下り坂になっていて、

坂を下っていくと、みーちゃんはだんだん小さくなっていき、しまいには、ほとんど小さな野ねずみとおなじ背丈になってしまいました。


「外に出るともとに戻るから」

と野ねずみは言いました。


2人がどんどん坂を下っていくと、先のほうに、ぼんやりと灯りが見えてきました。


「あそこ、ぼんくんち」


野ねずみが振り返って言いました。

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