レベル277 ☆
「はぁ~、凄かったよね、エクサリー様のコンサート」
「いつか私達も、ソロコンサート開きたいよね」
「無理無理、お前達と彼女が立っているステージはまったく違うだろ」
ここはエンテッカル王宮の一室、戴冠式を盛り上げるために呼ばれたアイドルユニット達が控えている部屋である。
音楽という文化によって後押しされた新国王。
当然、その戴冠式にはエクサリーやカユサルといった、世界最高峰の音楽家が招待されている。
貴族達に大層人気のある、カユサルの奏でるグランドピアノの演奏は、各国の重要な式典ではなくてはならないものとなっている。
彼を呼べなかった時点で、その式典は失敗であると言われるほどだ。
グランドピアノの音色、カユサルの演奏技術、それらは他の何物にも代えられない。
唯一対抗できると言われているのが、エクサリーのコンサート。
その歌声は、老若男女、全ての人々を魅了する。
彼女の歌声が響けば、誰もが静かに耳を傾けざるを得ない。
さらには幻想的な炎の舞台がそれを盛り上げる。
「二人共とても素晴らしかったのに、それを超える、クイーズ卿のバンドなんて、いったいどれほどのものなのでしょうか?」
「そりゃ凄いに決まっているだろう、その二人がメンバーの一員なんだから」
「でもですよ、その二人がそろって自分以上だというクイーズ卿の歌と音楽、ぜひ聴いてみたいですよね!」
「まあそれには俺達が頑張って、クイーズ卿の追放を撤回させないとな」
今や幻となった、クイーズが中心となったバンド。
聞くもの全てを熱狂の渦に巻き込んでいく。
カユサルのステージが降り注ぐ音の雨であるのならば、エクサリーのコンサートは穏やかな春風のような音、そしてクイーズのバンドは音の嵐である。
それは伝説として音楽に関わる人達に語り継がれている。
その嵐に巻き込まれれば最後、その音の暴風雨に圧倒され、心を奪われる。
音楽家達にとって、クイーズの復帰は、何よりも待ち望まれているのだった。
「ほんと、クイーズ様に会ってみたいなあ……」
「そうだな、つっと、誰か来たようだぞ」
「あっ、私が開けてくるね」
一人の少女がドアに駆け寄り、扉を開く。
「えっ、……エクサリー様!?」
少女がドアを開いた先には噂のエクサリーが立っていた。
「ちょっといいかな?」
「ははは、ハイ!」
エクサリーは同じミュージシャンとして友好を深めたいと思ってここに訪れたのだ。
(随分、緊張しちゃっているね、怖がらせちゃったかな?)
『別に怖くて緊張している訳じゃないでしょ? 畏れるという意味ではあっているかも知れないけどね』
なにせ彼女らにとってエクサリーは天上の人。
それこそ、宗教上の神様と言っても差し支えない。
そんな人物が態々自分達に会いに来てくれたのだ、そりゃ恐縮もするだろう。
とはいえ、このような機会はめったにない、才ある彼女らにとってエクサリーとの会話は至上の糧となる。
「そ、それでは、クイーズ様とは、特別なラブロマンスなんてなかったのですか?」
「う~ん、そうだね、気が付いた時には、もう、という感じだったかな」
会話の内容は音楽とは関係ないみたいだが。
「それって理想的ですよね。急に燃え上がった恋心は冷めるのも早いが、少しずつ温めて来た友愛は決して冷める事はないと言いますし」
まあ、年頃の女の子が集まればそういう話で盛り上がる。
ただ切っ掛けさえ出来てしまえば、他の話も弾む。
さらにカユサルとの会合が終わったローゼマリアもやって来て部屋は賑やかになっていく。
「ローゼマリア様のその楽器、しんせさいざー? でしたっけ。それも、とっても素晴らしいものですよね!」
「うむっ、これ一つあれば、どんな音も鳴らし放題じゃっ」
「素敵です! 私も楽器を練習しています。いつかは、そんな物を手に入れたいです!」
「必要なのはアイリスブラッド種のマンドラゴラじゃな! それを手にしてクイーズに頼み込むが良いっ」
モンスターの中には偶に毛色の違う個体が生まれることがある。
所謂、レアモンスターという奴だ。
そしてそんな毛並みの違う奴の中に、虹のようにカラフルな色もあり、とても貴重な種としてアイリスブラッドと呼ばれている。
アイリスブラッド種のモンスターをゲットした場合、貴重なものに変わりやすい。
なお、クイーズが取得したモンスターの一覧と、そのカードの所持者は以下のようになっている。
◇◆◇◆所持者:クイーズ◇◆◇◆
『スーパースター・ラピス』
☆12・レベル65
スキル:超繁殖→聖母、カード統率・極、命名(使用不可)、テンカウント
備考:モンスターCカード+1
ロゥリ・竜型スタイル
『天竜王・ロゥリ』
☆13・レベル48
スキル:ホワイトブレス、天の岩戸
備考:クイーズ特効
ロゥリ・人型スタイル
『神竜騎士・ロゥリ』
☆12・レベル48
スキル:擬態+、万有引力・神
備考:竜種特効、モンスターCカード+1、メテオブレイカー
『聖王ホーリークラウン・カシュア』
☆7・レベル52
スキル:未来予見・極、聖王
備考:天敵・オーク、アンデッド特効、モンスターCカード+1、ホーリーノヴァ
『マンドラゴラ・ギター』
☆7・レベル37
スキル:オート演奏、擬態
備考:音の世界
『お料理セット』
☆4・レベル38
スキル:オート料理、料理人召喚
『鉱石M』
☆1・レベル53
スキル:素材変化・変形、素材吸収・破棄
備考:モンスターCカード+1
『竜王・ニース』
☆10・レベル10
スキル:聖剣の担い手、竜化、輪廻転生(1)
備考:全属性特効(小)
『ライオンハート・ハーモア』
☆5・レベル34
スキル:獣人化
『ダークエルフ・サウ』
☆2・レベル37
スキル:幻惑+
『エルフ・レリン』
☆2・レベル32
スキル:器用貧乏、魅惑
『パワードスーツ』
☆6・レベル42
スキル:全パラメーター+、モード変換(1)
備考:魔法無効(エリア・調整可能)、リミットブレイク
『烏天狗・ムハク』
☆5・レベル25
スキル:変化+、風魔法
『空母クイーン・ウィルマ』
☆10・レベル3
スキル:水生成
◇◆◇◆所持者:ラピス◇◆◇◆
『スカウター』
☆9・レベル1
スキル:叡智
『フルドラムシンセ』
☆8・レベル14
スキル:ミキシング、アンプリファイアー、サウンドウェーブ
『魔王サキュバス・フフ』
☆10・レベル22
スキル:夢狩
『創造神・クイーズ』
☆1・レベル13018
スキル:モンスターカード創造
備考:天敵・カードモンスター
◇◆◇◆所持者:カシュア◇◆◇◆
『ミュージックプレイヤー』
☆11・レベル1
スキル:聴覚探知・極、鷹の目
◇◆◇◆所持者:エクサリー◇◆◇◆
『エンゲージリング』
☆10・レベル18
スキル:精霊化
◇◆◇◆所持者:ローゼマリア◇◆◇◆
『シンセサイザー』
☆8・レベル23
スキル:奏者、サーチライト
◇◆◇◆所持者:カユサル◇◆◇◆
『グランドピアノ・セレナーデ』
☆9・レベル38
スキル:擬態+、英雄の旋律
備考:一子出産
『ソーサー』所持者・カユサル
☆1・レベル3
◇◆◇◆所持者:エルメラダス◇◆◇◆
『グリフォン・アイリスブラッド・カイザー』
☆8・レベル36
スキル:龍風圧無効、超加速、擬態+
備考:獣種特効
『リライフ』
☆1・レベル2
◇◆◇◆所持者:サヤラ◇◆◇◆
『ウィンディーネ亜種・アクア』
☆7・レベル38
スキル:混合魔法、科学知識
備考:水系統倍化、火系統倍化
『精霊聖痕・アポロ』
☆9・レベル31
スキル:精霊王+
備考:物理攻撃無効、魔法攻撃無効
ティニー・銃型スタイル
『聖銃・ティニー』
☆11・レベル27
スキル:モデルチェンジ(4)、リロード
備考:アンデッド特効、人型特効
ティニー・人型スタイル
『レディガンナー・ティニー』
☆4・レベル27
スキル:必中、弾丸練成
備考:狂化
◇◆◇◆所持者:アスカ◇◆◇◆
『メタルスライム・スラミィ』
☆2・レベル39
スキル:擬態・極
◇◆◇◆所持者:パセアラ◇◆◇◆
『骸骨王・ダンディ』
☆8・レベル28
スキル:天啓
◇◆◇◆◇◆◇◆
大きく変わったのは、ローゼマリアが持つシンセサイザー。
20レベルになり、サーチライトというスキルが生え、本体から様々な色合いのレーザー光線を出せるようになった。
それにより更に舞台の演出が強化され、派手になったシンセサイザーにも注目が集まるようになってきた。
なお、このシンセサイザーには奏者というスキルがあり、それは、このシンセサイザーの操作方法を演奏者が知る事が出来るもの。
その奏者のスキルでサーチライトの使用方法も詳細に分かる。
サーチライトと言うのは光の集まり。
それも様々な色合いの。
それらを無数に集めれば何ができるか。
立体映像なるものを光で映し出すことだって可能なのだ。
シンセサイザーにエクサリーの音声を取り込み、その姿を立体映像で映せば、本人が居なくともライブが可能という。
まさしく、ボーカ〇イドの出来上がりである。
もちろん、初めての音な人だって作り出す事が可能だ! エエ、ヤリマセントモ?
「私も、大金持ちになってカユサル様みたいに、冒険者に依頼を懸けたいです!」
カユサルはどうしてもシンセサイザーを欲しがって、数十億というお金を使って懸賞金をかけた。
それが奥さん(グランピアノ)にバレて手放すことにはなったが。
ただその出来事は、人々の記憶に強く印象付けられ、ここにいるアイドルの卵達にとって、お金持ちになって素晴らしい楽器を手にするという、一つの目標となっている。
「うむ、それを手にしたらわらわに言って来ればよい、さすれば仲介してやろうっ」
「えっ、クイーズ様に会えるのですが!? ローゼマリア様、素敵ですっ!」
「ハッハッハ、任せるがよいっ!」
『調子に乗っているわねえ、いいの? 勝手にあんな事、言っているわよ』
「まあいいんじゃないかな。それにしてもマリアちゃんが一緒だと本当に賑やかになるよね。私、やっぱり迫力ありすぎかな?」
『気にしすぎじゃない? 堂々としてりゃいいのよ。あんたはとっても迫力のある美人よ』
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