レベル230
金銀財宝も返品して、その代わりといってはなんだが、メタル鉱石を催促する事にしてみた。
メタル鉱石は海神様の大好物で、それがあればもっともっと船が豪華になるとか言って。
さっそく国をあげてダンジョンで採掘してくれる事になった。
うん、言ってみるもんだな。
とりあえず暫くの間、港に停泊させて人々に空母を開放してみる事にきめた。
お代はメタル鉱石1キログラム。
と思ったんだが、子供までダンジョン入ってメタル狙おうとするので、子供は無料にした。
毎日満員御礼。
遠い異国からも旅行者が訪れる始末。
すっかり観光名所に。
と、カユサルじゃないか! お前まで観光に?
「師匠がもの凄いものを手に入れたとセレナーデに聞きましてね」
そう言いながら少し鋭い目付きで空母を見やるカユサル。
「中は見させてもらいました、アレ、空も飛ぶのですよね」
「ああその通りだ、どうだ凄いだろう?」
「凄いですね、凄過ぎです……できれば公開はしないほうが良かったぐらい」
なんだよお前、なんか暗いぞ?
えっ、いずれこの空母が世界中から狙われる事になる?
「すでに海洋諸国では軍艦の製造を急ピッチで進めている国もあります」
「別に気に病む必要はありませんよ。元々、ロゥリだって狙われていたのですから、狙われるものが一つから二つになったに過ぎません」
「いやいやおめえ、それ、一つでも増えたら大事じゃね?」
今のオレには鉱石Mがないのよ?
ドラスレだって空母を浮かしていると使えないし。
「カシュアとアポロが居るじゃありませんか」
『……うん、任せといて欲しい』
「そういえばお坊ちゃま、ホーリークラウンは?」
「ああ、カシュアの奴なら、海の幸だ~とか言って走って行ったきり帰ってこない」
後で泣かす。って呟いているラピス。なむなむ。
「ところで師匠、コレ、攻撃能力はどれぐらいあるのですか?」
「そこが問題なんだよなあ」
全長400メーター、にした所為で、筏部分はブリッジに納めてしまった。
で、ウィルマの魔法は筏から射出される。
即ち、船の外まで届く攻撃となると、距離がありすぎてあまり有効的なものはない。
もっとメタル鉱石を集めて、火薬や、砲弾が作れればいいのだが。
「今の所、運搬ぐらいにしか使えないだろうな」
「これだけ広いなら魔術師を大量に積めば……」
「一箇所に集め過ぎるのは逆に危険じゃないか? 船の内部で罠がしかけられないとも限らない」
まあ、別世界の知識のある骸骨なら、何か良い手を考え付くかもしれないが、それが決して良い結果になるとも限らない。
むしろ戦闘能力が無いと思ってくれていたほうがありがたいぐらいだ。
「本来、この空母って奴は戦闘機、そうだな、グリフォンやワイバーンと言った竜騎兵などを運搬するものだ」
「なるほど、海上でも、地上と同じ航空戦力を用いることが可能になるという事ですね」
「船同士の戦いなら戦略が限られる、場所取りに失敗したら終わる場合もある」
だが、航空戦力があればそれが一変する。
大砲でドンパチしても、その命中率は恐ろしく低い。
地形のない広大な海で一定以上の距離があれば、正直、船を落とすことは不可能に近いだろう。
船の横っ面や甲板に少々穴を空けても船は沈みやしない。
水に浸かっている部分に穴を空けなければ浸水は起こらない。
しかし逆に、水に浸かっている部分にさえ穴を空ければ脆いわけだ。
船を落とすのに有効なのは、潜水艦や、航空機による水中魚雷が一番である。
特にこの世界の航空戦力は機動力が滅法高い。
一時停止やら、直角に急降下やら、しかも短い時間なら海に潜る事だって可能だ。
「グリフォン部隊でも乗せて、接舷して海中に潜り、船底に時限爆弾でもセットすりゃ海の上では無敵になるだろうな」
他の国が真似しなければ。の話だが。
各国が空母を所持し始めれば、海戦というより空戦がメインになるだろうな。
第二次世界大戦以降がそうであったように。
「現状、コレと同じレベルの物を建造するのは難しいでしょうね。仮に作ったとしても空を飛ぶ事は絶対に不可能だ」
「海では無敵、地上でも空から一方的に攻撃ができる」
「……非常に危険ですね」
そりゃ誰もが欲しがるよな。
また無理難題を言ってくるとこがなければいいが……
「カユサル、もしこれが、ガワだけでも量産できるとしたらどうなる?」
「動かすための動力さえ確保できれば……というか出来るのですか!?」
やってみないことには分からないがな。
刀のようにキチンとした素材が作られてなければ脆いかもしれないが、これはラピスが作った奴だ。
多少はしっかりした素材になっていると思われる。
「レプリカを売って各国の戦力のバランスを図る?」
そうすれば一極集中でオレだけが狙われることはなくなるだろう。
むしろ製造ができるオレを大事に扱ってくれるようになるかもしれない。
ただまあ……
「その為にはメタルが大量に必要になるんだよなあ」
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