第十五章
レベル228
空母は巨大なものだと330メーターは超える。
なので、それに対抗して作ってみた400メーター超しの全長。
船幅は50メーターと言う化け物空母。
しかし、問題が一つ発生した。
「浮きませんわ」
浮かないのだ。
重過ぎて。
いや、海の上なら浮くんですよ?
ちゃんとそこらへんはラピスが考慮している。
問題は空の上。
竜王の能力をもってしても、この巨大な空母は宙に浮くことは適わなかったのだ。
「だから言ったろ? デカクしすぎだって」
「何言ってるんですか、もっとデカクしようぜって言ったのはお坊ちゃまじゃないですか」
いやあ、巨大な建造物見るとテンション上がっちゃってさあ。
そうだ、ロゥリとニースに担がせばいいじゃないか。
「ものを運ぶ空母が、逆に運ばれてどうするんですか」
「ダヨネ」
ふうむ……待てよ、補助動力を使えば……
「補助動力ですか?」
「ああ、ちょっと待ってろよ」
オレは空母になっている鉱石Mを操作してブリッジにとあるモノを作り出す。
それは鞘の形をした、剣の台座。
オレはそこへ、ドラゴンスレイヤーを差し込む。
スキルに神ってついているんだ、これぐらい持ち上げられるんじゃないだろうか。
期待を込めてドラスレの万有引力のスキルを発動してみる。
するとゆっくりと浮きだす我等が空母、クイーン・ウィルマ号!
「さすがに浮かすので限界なんだけど、移動ってできる」
「浮きさえすれば可能ですわ」
しかしこれ、誰かがドラスレに触れてスキルを発動させ続ける必要がある。
「浮いている状態を維持するだけなら、多少は持ち耐えられますが……」
何時間もは無理らしい。
どうしたものか……
誰か船長したいひと~?
と問いかけると、ハイハイと手を上げるレリンちゃん。
「船長したいです!」
今日は学校もお休みなので見学ついでにレリンちゃん達も招いている。
確かにレリンちゃんなら適任かもしれない。
少なくとも他の奴に任せるよりかはマシだろう。
レリンちゃんは器用になんでもこなす。
船長といえば、風向きや天候によって臨機応変に対応する必要がある。
船を浮かせながら、周りを確認し、クルーに指示を出す。
様々な仕事を同時にこなす必要も出てくる。
うむ、器用貧乏なレリンちゃんにはピッタリなお仕事なんじゃないだろうか?
「よし! 船長はキミに決めた!」
「アイアイサー!」
なお、サウとハーモアの奴等は、ここに来てすぐ、あちこちを駆け回って遊んでいる。
この場所に居たら自分もやるって揉めたかもしれないが、居ない奴が悪いよね。
絶対にあいつらには任せられないしな。
と、思っていたらその二人が戻ってくる。
「どこもかしこも空洞だらけじゃないか。もっと部屋らしい感じにできなかったのかよ」
「ソウダ、ゲームセンター作れ」
「仕方ないだろ、素材不足なんだから」
そう、素材不足で、内装はまだまだ作成途中である。
メタル鉱石はあまり需要がなく、値段自体はそれほどしない。
通常、ほとんどの物質には3相といい、固体、液体、気体と姿を変える。
鉄などは液体に変えて加工することがほとんどだろう。
しかし、メタル鉱石。
どんなに熱を加えても素材が変化しない。
叩けば変形するし、切り裂くことも可能だが、溶かしてくっつけるなどの加工はできない。
即ち、非常に扱いずらい物質なのだ。
これがミスリルやオリハルコンなどの、魔法金属であれば他に使い道があるのだが、メタル鉱石はただの鉄。
態々メタル鉱石を加工して、どうこうしようなんて人はあまりいない。
なので安く流通していたのだが。
急に値段が跳ね上がりました。
オレ達が買いあさった所為で。
そもそもメタル鉱石は、ミスリルやオリハルコンと同様、ダンジョンにしか存在しないファンタージー鉱物。
土の中に埋まっている訳ではないので、必要ならばダンジョンに入ってとってこなければならない。
せいぜい、クエストの途中で見つけたら持って帰るか、ぐらいの供給。
それも重いし、邪魔になるので、よほど手が余ってしまった時ぐらい。
今までは需要がなかったので、その程度の供給で十分だったが、空母を作るとなると圧倒的に足りない。
擬態+がなくなった事により、吸収した以上の大きさにもならない。
鉱石Mで錬金術だ。って思っていたのだが、宝石より高い値段になると本末転倒でござる。
どっかにメタルなダンジョンはないかなあ……
「地道に探して行くしかないですかね」
「南の敵対国はどうだ? あそこらへんならまだ高騰していないだろう、こっそり行って買い付けられないかな?」
「それも一つの案かも知れませんね。とはいえ密輸になりますからね、それなりのリスクはありますよ」
やはり駄目か。
時空魔法にも対策をとっているだろうしなあ。
いずれ、それとなく覗いてみるか。
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